UIデザインは、ウェブサイトやアプリケーションなどのユーザーインターフェース(以下UIと略します)をデザインすることを指します。
UIデザインでは、ユーザーにとって使いやすくわかりやすいUIを実現するために、デザインの原則に沿った要素を的確に配置する必要があります。
また、ユーザーの目線に立ってデザインやアクセシビリティ、モバイルフレンドリーにするなど、UIデザインのポイントを抑えることが重要です。
UIデザインを考慮したアプリやWebサイトを作成するには、Adobe XDやFigma、Sketchなどのツールや、UIデザインのテンプレートサイト(Dribbbleなど)を有効活用することで優れたデザインを実現することができます。
UIデザインの優れたサービスサイトやアプリに、AirbnbやDropbox、Trello、Slackなどが挙げられます。
これらのサービスをよく観察すると、シンプルなデザインと直感的な操作性をもつUIで構成されており、ユーザーがストレスなくタスクを実行できる魅力的なデザインであることがわかります。
UIデザインは、アプリやWebサイトの成功に直結する重要な要素であり、デザイナーやエンジニアなどのUIデザインに携わる人々だけでなく、プロダクトマネージャーやプランナー、マーケターの方も、その重要性を理解しておくことが求められます。
そこで本記事では、初心者でも理解しやすいよう、UIデザインの基礎やポイント、便利なツールやリソース、成功事例などを紹介し、UIデザインの世界について解説していきます。
目次
UIデザインの目的
UIデザインの主な目的は、ユーザーが製品やサービスを効果的かつ効率的に使用できるようにすることです。具体的には、以下のような目的があります。
ユーザーのニーズを満たす
UIデザインは、ユーザーが求める情報や機能を提供することで、ユーザーのニーズを満たします。
利便性を高める
UIデザインは、ユーザーが製品やサービスを簡単かつ効率的に使用できるように設計することで、利便性を高めます。
ユーザーエクスペリエンスを向上させる
UIデザインは、ユーザーが製品やサービスを使用する際に、より良い体験を提供することで、ユーザーのエクスペリエンスを向上させます。
ブランドイメージを表現する
UIデザインは、製品やサービスのブランドイメージを表現することで、ユーザーに製品やサービスの特徴や魅力を伝えます。
ユーザーのモチベーションを高める
UIデザインは、ユーザーのモチベーションを高める手助けをします。
例えば、インタラクティブなUI要素やゲーミフィケーションの要素を取り入れることで、ユーザーの興味を引き、タスクに対するやる気を促進することができます。
以上のように、UIデザインは、製品やサービスの利用者にとって重要な役割を果たし、UIデザインを優れたものにすることで、ユーザーの満足度や製品やサービスの価値を高めることができます。
UIデザインの構成要素
UIデザインには、レイアウト、カラー、テキスト、アイコン、グラフィックス、フォーム、ボタンのような構成要素があります。
これらの要素を上手に使いこなすことで、使い勝手の良いUIを実現することができます。
例えば、レイアウトを工夫することで、UIのバランスを調整したりテキストの見やすさを向上させたりすることができます。
また、カラーを使い分けることで、UIの雰囲気や認識性を大きく変えることができ、サイトやアプリ全体の印象を良くし、伝えたいイメージや世界観を作ることができます。
アイコンやグラフィックスは、UIに視覚的な情報を提供するために利用され、ユーザーが簡単かつ直感的に操作をすることをサポートします。
UIデザインにおいて、これらの構成要素を上手に使い分けることで、ユーザーにとってわかりやすく、使いやすいUIを実現することができます。
そこで、本章では、代表的なUIの構成要素と各要素で考慮すべきポイントをお伝えします。
レイアウト
レイアウトは、UIデザインにおいて最も基本的な要素です。
要素の配置やサイズ、間隔などを決定することで、デザインの視覚的なバランスや一貫性を担保することができます。
グリットを活用し要素を整列し視覚的な階層構造を整理したり、各コンテンツごとの余白を確保して視認性を高め、ユーザーの目線に立って直感的なナビゲーションを実現することができます。
カラー
カラーは、全体の印象、ブランド・アイデンティティ、使いやすさの改善において非常に重要な要素になります。
適切なカラーを使うことでユーザーの興味を引きつけ直感的に情報を伝える効果をもたらすことができるでしょう。また、適切なカラースキームを使用することで、ブランドの印象を強化し、認知度を高めることも可能です。さらに、カラーはコントラストや階層化によって、画面の要素を区別しやすくし、アクセシビリティを向上させます。このように、カラーはUIデザイン全体の印象や効果を大きく左右する要素となります。
テキスト
テキストも、UIデザインにおいて情報伝達のための不可欠な要素の一つです。
文字のフォントやサイズ、カラー、行間などを適切に用いることで、テキストの視認性や読みやすさを向上させ、サイトやアプリでの利用体験を向上させることができます。
一方テキストはダイレクトにユーザーに伝わリやすいのですが、複雑な表現や専門用語を多用するとかえって混乱を招いたり操作を阻害することにもなりますので、適切な分量や読みやすさ、言葉の統一などにも注意しましょう。
アイコン
アイコンは、わかりやすい情報の提供やナビゲーションのために利用されることが多い要素です。限られたスペースでの情報提供の際にも用いられます。
少ないスペースで効果的に情報が伝えられるため非常に便利ですが、どんなユーザーでも同じような意味に伝わる汎用性の高いシンボルを用いる(✕ボタンであれば画面を閉じる、ゴミ箱なら削除する、など)ことと、各画面で用いるアイコンはスタイルとサイズを統一して一貫性を持たせることなどを注意しましょう。
グラフィックス
グラフィックスは、視覚的な情報表現や表現力の高いデザインを実現するために利用されます。
写真、イラスト、ベクター画像など、目的に応じたグラフィックスの選定や配置によって、サイト全体やアプリの印象や表現力を高めることができます。
適切なサイズを用いることで圧迫感を避けたり、提供したいイメージに合わせた統一感のあるグラフィックスを用いること、解像度を過剰に下げて粗い画像を用いない、などに注意しましょう。
フォーム
フォームは、ユーザーから情報を収集するために利用される要素です。
フォームのレイアウトやインプットフィールドのデザイン、入力情報のフォーマットなどを工夫することで、ユーザーがフォームを簡単に操作できるようにすることができます。
フォームは、ユーザーから情報を得るために必須な機能ですが、不要な項目を削減し入力の負担を減らすよう心がけましょう。いくらレイアウトやアクセシビリティを工夫しても過剰の項目は、ユーザーの負担になります。また、入力エラー時には明確な指示を提供し、ユーザー自身で問題を修正できるようにすることも重要です。
ボタン
ボタンは、UIデザインにおいて主にアクションのトリガーとして利用されます。
ボタンのデザインや配置、色彩などによって、サイトやアプリで具体的な操作やアクションを誘導する重要な要素です。
視認性や一貫性、クリックが可能であるとひと目でわかる形状などを工夫して使いやすく効果的なボタンを設計しましょう。
UIデザインを向上させるポイント
UIデザインにおけるポイントには、以下のようなものがあります。
ユーザー目線でのデザイン
ユーザーがどのようにUIを使うのかを考慮して、UIを設計することが重要です。
ユーザーが直感的に理解できるようなデザインや、ユーザーが求める情報を素早く取得できるようなレイアウトなど、ユーザー目線でのUIデザインを意識しましょう。
特にユーザーの性年代などのデモグラフィック情報や実際の利用シーン(自宅や外出先など)を具体的に定義することによって、利用シーンに沿ったふさわしいUIデザインを選択することができます。
アクセシビリティ
今日では、障がいを持った人でも、UIを使用できるようにすることが求められます。カラーコントラストを明るくする、フォントサイズを大きくする、音声入力や画面読み上げガイドなど、アクセシビリティに配慮したUIデザインを行いましょう。
モバイルフレンドリーなデザイン
モバイルデバイスからもUIを使用できるように、レスポンシブデザインを行うことが重要です。
モバイルデバイスでの表示やタップなどの操作を意識して、UIデザインを行いましょう。
シンプルなデザイン
UIをシンプルに設計することで、ユーザーが迷わず使えるUIを実現することができます。
提供者の立場からすると、多くの要素や情報を機能に追加したくなりますが、本当にユーザーが求めている必要最低限の要素にしぼりシンプルにまとめることで、使いやすいUIを実現しましょう。
ブランドイメージとの一貫性
UIデザインは、企業のブランドイメージと連携することで、企業価値を高めることが可能です。
企業のロゴやカラー、フォントなどを一定のデザインガイドラインに沿って統一することで、一貫性のあるブランドイメージを確立しましょう。
デザインガイドラインの詳細はこちらをご確認ください。
これらのポイントを意識して、UIデザインを行うことで、ユーザーにとって使いやすく、魅力的なUIを実現することができます。
UIデザインを行う上での便利ツール
UIデザインにおける便利なツールやリソースには、以下のようなものがあります。
Adobe XD
Adobe XDは、UIデザインに特化したアプリケーションで、簡単にワイヤーフレームやプロトタイプを作成できます。
また、PhotoshopやIllustratorとの連携も可能です。
Figma
Figmaは、オンライン上でUIデザインを行えるアプリケーションで、コラボレーション機能が充実しています。
複数の人が同時にUIデザインを行うことができるため、チームでのプロジェクトに最適です。
Sketch
Sketchは、Macユーザー向けのUIデザインツールで、シンプルで使いやすいインターフェースが特徴です。
豊富なプラグインやテンプレートもあり、効率的なUIデザインが可能です。
UIデザインのテンプレートサイト
UIデザインのテンプレートサイトでは、UIデザインに必要なアイコンやフォント、テンプレートなどがダウンロードできます。
無料のものから有料のものまで、様々な種類があるため、自分のプロジェクトに合ったリソースを選ぶことができます。
Dribbble
Dribbbleは、UIデザインのアイデアや作品を共有できるSNSサイトで、ユーザーがアップロードした作品を参考にすることができます。
UIデザインのトレンドや最新のアイデアを知ることができるため、自分のUIデザインに活かすことができます。
Behance
Behanceは、Adobeが運営するデザイナー向けのプラットフォームで、UIデザインのみならず、グラフィックデザインやWebデザインなど幅広い分野の作品が集まっています。
多数の作品があり、フィルター機能によって検索もしやすいため、UIデザインの参考にするのに適しています。
これらのツールやリソースを活用することで、効率的なUIデザインが可能になります。他にもいくつも著名なサイトがありますので、ぜひご自身の気に入ったサイトを見つけてみてください。
UIデザインが優れているサイト例
Stripe
Stripeは、オンライン決済サービスを提供する企業で、サイトのUIデザインが優れていることで知られています。シンプルでわかりやすいデザインで、ユーザーが簡単に決済処理を行うことができます。
StripeのUIデザインが優れている点は、以下の通りです。
- シンプルでわかりやすいデザイン
- ページ遷移がスムーズで、処理が迅速に行える
- ユーザーフレンドリーで、決済処理がスムーズに行える
- スマートフォン用に最適化されたデザインが用意されている
Airbnb
Airbnbは、民泊サービスを提供するサイトで、ユーザーが部屋を検索して予約する際のUIデザインが優れています。写真や情報がわかりやすく、ユーザーが目的の部屋を見つけるのに役立ちます。
AirbnbのUIデザインが優れている点は、以下の通りです。
- 使いやすい検索機能で、ユーザーが目的の部屋を見つけやすい
- 部屋の写真や情報がわかりやすく、ユーザーが納得して予約をすることができる
- カスタマイズされたユーザー体験が提供されている
Dropbox
Dropboxは、オンラインストレージサービスを提供するサイトで、UIデザインが非常にシンプルで使いやすいことが特徴です。
機能が分かりやすく、ユーザーがファイルをアップロードしたり、共有したりするのに便利です。
DropboxのUIデザインが優れている点は、以下の通りです。
- シンプルなインターフェイスで、ユーザーが直感的に操作できる
- ファイルのアップロードや共有がスムーズに行える
- ユーザーがどこにあるファイルでも一元的に管理できる
Trello
Trelloは、タスク管理サービスを提供するサイトで、UIデザインが直感的でわかりやすいことが特徴です。
タスクをボード上にカードとして表示し、カードの移動でタスクの進捗を管理することができます。
TrelloのUIデザインが優れている点は、以下の通りです。
- 直感的なカード式のタスク管理ができる
- ユーザーがタスクの進捗状況を見やすく管理できる
- カスタマイズ可能なボードとカードが提供されている
Slack
Slackは、チャットツールを提供するサイトで、UIデザインがユーザーフレンドリーであることが特徴です。
チャットやファイルのやりとりがしやすく、ビジネスでのコミュニケーションに役立ちます。
SlackのUIデザインが優れている点は、以下の通りです。
- チャットやファイルのやりとりが直感的で使いやすい
- チャットルームが整理されており、ビジネスでのコミュニケーションに適している
- カスタマイズ可能で、ユーザーが自分に合わせた環境を作ることができる
これらのUIデザインの成功事例は、それぞれがユーザーニーズに合わせたUIを提供し、シンプルで直感的な操作性を持つなど、共通点があります。また、美しく機能的なデザインとともに、実用性に重点を置いたUIデザインが多いことも特徴的です。
まとめ
UIデザインは、製品やサービスを使いやすくするための重要な要素です。
UIデザインには、ユーザーのニーズを満たすための機能や情報の提供、使いやすさの向上、ユーザーエクスペリエンスの向上、ブランドイメージの表現、ユーザーのモチベーションの高揚などの役割があります。
優れたUIデザインは、ユーザーの満足度を高め、製品やサービスの価値を向上させます。
UIデザインを成功させるには、ユーザーのニーズや行動を理解し、使いやすく、美しく、洗練されたデザインを提供することが必要です。
UIデザインがユーザーにとって適切なものか、実際に使いやすいかどうか、という点は、ユーザビリティテストで検証ができます。
UIデザインに関するご相談は電通マクロミルインサイトにご相談ください。
数々の部門横断型プロジェクトを経験したのち、電通マクロミルインサイトにおいてUI/UXリサーチの新サービスを立ち上げ。
責任者として、様々な企業のUI/UX改善プロジェクトに参画。