目次
インタビュー調査とは
インタビュー調査とは、特定のテーマや問題について、個人やグループを対象に直接質問し、その回答を収集・分析する研究方法です。参加者の意見、感情、経験を詳細に聴取し深く理解する目的で実施します。
インタビューには、グループインタビュー、デプスインタビュー、オンラインインタビューと主に3種類あり、調査の目的や必要な情報の種類に応じて使い分けをします。
インタビュー調査は定性調査の1つ
調査は大きく定量調査と定性調査の2つに分けられますが、インタビュー調査は、定性調査の1つです。
定量調査とは、人数や割合、規模など結果を数値で分析する調査を指し、アンケート調査などが該当します。数量で結果を分析するため、全体像を把握したり相対的な比較がしやすく客観性のあるデータとして活用することができます。
一方、定性調査とは言葉や行動など数値にできない質的な情報を把握する調査で、インタビューや行動観察などが該当します。
定量調査ほどの客観性はないですが数字データの背景を読み取ることができ、対象者の主観的な感情や行動の理由などを把握することができます。
インタビュー調査のメリット
数量データでは表せない深層心理や行動の理由が把握できる
インタビュー調査では、表層的な質問を繰り返すだけでなく、対象者の発言から気になった内容について更に深堀りしたり、具体的なエピソードなどを質問することができます。
これにより、対象者自身も気づいていなかった行動の理由や商品の好き嫌いの理由などの深層心理を把握することができます。
表面的ではない、非言語情報を読み取ることができる
インタビューでは、単に言葉による回答を収集するだけでなく、参加者の声の調子、表情、身振りなどの非言語的な情報も同時に観察できます。
インタビュー調査では、これらの微妙な感情や態度も重要なデータとして捉えることができるため、より深く、表面的ではない情報を得ることが可能です。
想定外の情報を発見できる
インタビュー調査の大きなメリットの一つは、アンケート調査では捉えきれない、予想外の欲求やニーズ、実態を発見できることです。
アンケート調査は選択肢や質問が予め定められているため、回答がある枠内に限られがちです。
これに対し、インタビューでは質問を通じて、参加者が自由に思考をめぐらせ、詳細な意見や感情を引き出すことができます。インタビュアーとの対話により、参加者自身も意識していなかった欲求や問題点が浮かび上がり、新たなニーズが明らかになることがあります。
インタビュー調査のデメリット・注意点
モデレーター(インタビュアー)に左右される場合がある
インタビュー調査の注意点・デメリットとして最たるものは、モデレーター(インタビュアー)に結果が左右される可能性があるという点です。
インタビュー調査は回答者の主観を聞く調査のため、同じ質問でも聞く順番や聞き方等によって回答が変わることがあります。
適切な回答を引き出すためには、スキルと経験が必要となるため、電通マクロミルインサイトでは、各調査テーマに応じて経験豊富な専門のモデレーターを配置しています。
定量調査よりコストと期間がかかる
インタビュー調査のもう一つのデメリットは、定量調査と比較して高いコストや長い期間を要する点が挙げられます。
定量調査の中でも、インターネット調査では、比較的短期間かつ低コストで実施が可能です。
対して、インタビュー調査では、調査企画や対象者のリクルーティング、インタビューフローの作成など準備にも時間を要します。
また、インタビュアーと対象者のスケジュールの調査も必要となります。
結果の分析も、機械的に集計可能な数値データの定量調査と異なり、結果の分析には専門性とセンスが必要とされるため、時間とコストがある程度かかります。
回答の質に対する不確実性がある
インタビューで得られる回答の質は、参加者の当日の状態やインタビューに対する態度によって左右されることがあります。
参加者が十分にオープンでないと、信頼性や有用性のあるデータを収集することが困難になる場合があります。
インタビュー調査の活用シーン
仮説の構築
アンケート調査をはじめとする定量調査では、態度や行動を量的に把握できるため「仮説の検証」に使われることが多いですが、対してインタビュー調査は態度や行動に加え、その背景にある心理や意識を探ることで、仮説自体を構築したり、仮説のブラッシュアップに活用したりという場合に適しています。
コンセプト案や新商品・試作品に対する反応の確認
これから発売する新商品や新規サービスのアイディアなどが市場で受け入れられるかを確認したい場合にもインタビュー調査が有効です。
Web上のアンケートでは把握が難しい、試作品を提示したときの素直な反応や印象を理由とともに確認できるためです。
実態把握、ニーズ探索
インタビュー調査は、既存商品の改善点を抽出し、使用実態を把握する際にも有効です。現在使用しているユーザーに使用目的や使用方法、不満点などを深堀することで、既存商品の課題を洗い出すことができます。
使用した際の問題や不便さ、改善を望む機能、さらには開発側が想定していなかった使用方法や目的などが明らかになる場合があります。
インタビュー調査の種類と特徴、メリットとデメリット
インタビュー調査には次の3つの種類があります。
グループインタビュー
グループインタビューは、4~6名の調査対象者を一同に集め、座談会形式でインタビューを行う調査手法です。
調査対象の内容について自由に発言をしてもらうことで、消費者の考えや本音を収集することができます。
グループインタビューのメリット
グループで会話をするため、お互いの発言から刺激を受け活発に意見が出てきやすく、多くの意見を収集しやすいメリットがあります。
デプスインタビューに比べると、短期間で比較安価に実施可能です。
グループインタビューのデメリット
多くの意見を聞ける反面、気になる一つの意見を深堀りして聞くことは難しいです。
また、他の参加者の意見に影響を受けたり、1人だけ意見が違う場合に発言しにくいという場合もあります。
電通マクロミルインサイトのグループインタビューのサービスについて
グループインタビュー調査の流れ・活用シーン・メリット・注意点などの解説コラム
デプスインタビュー
デプスインタビューとはインタビュアーが対象者に対して1対1でヒアリングをする調査手法です。他人と話し合いをする必要がないテーマやグループインタビューでは話しにくい、デリケートなテーマを対象にすることも可能です。
デプスインタビューのメリット
・対象者の行動に至るまでの理由や動機、思考、価値観を深く掘り下げてインタビューすることができます。
・他者の発言に影響を受けることを避けられます。
デプスインタビューのデメリット
個人を深掘るため、市場全体を反映したものではなく、個人の意見にとどまるため市場全体の意見を反映したものではないという点に注意が必要です。
また、1人ずつにインタビューするため、グループインタビューに比べコストと時間がかかります。
電通マクロミルインサイトのデプスインタビューのサービスについて
デプスインタビューとは、インタビューの注意点やステップごとのコツを解説コラム
オンラインインタビュー
オンラインインタビューは、ZoomやGoogle MeetなどのWEB会議サービス使って実施するインタビュー調査です。
グループインタビュー、デプスインタビューどちらも実施することが可能です。
オンラインインタビューのメリット
・インターネット環境があれば、従来はインタビュー調査が難しかった対象者にも、パソコンやスマートフォンからインタビューに参加することができる点が特徴です。
例えば地方/遠方の消費者も参加可能になる、外出が難しい主婦・子育て世代なども移動時間や場所の制約などを気にせず参加可能になる、といった場合です。
・会場費や交通費などが不要のため実際に対面して実施するインタビュー調査と比べ、安価でスピーディーに実施することができます。
オンラインインタビューのデメリット
・オンラインインタビューでは参加者同士が互いの発言に対し、瞬時に反応して会話のキャッチボールをすることが難しいため、対面での実施に比べるとグループ・ダイナミクスは起こりにくくなります。
・また、オンラインインタビューでは、身振り手振りや服装など言語外の情報が限られ、対面でのインタビューに比べて画面越しの参加者の表情・表現から読み取れる情報が少なくなるため注意が必要です。
・対象者のPCやWi-Fi環境など、事前の回線接続確認が必要な点や、フリーズなどインタビューが止まる可能性などがあります。
電通マクロミルインサイトのオンラインインタビューのサービスについて
インタビュー調査の流れとポイント
企画・調査設計
調査の背景となる課題から、グループインタビューで明らかにしたいことを整理します。
そしてインタビューを実施する背景、目的、対象者、対象者数、項目、時期等を整理して、「誰に・いつ・何を聞くか」ということを決めるのが調査設計です。
インタビューフローの作成
企画が定まったら、「インタビューフローを作成」します。
インタビューフローとは、インタビューで聴取する内容と順番、時間配分を整理したインタビューフローを設計し、進行フロー図に書き起こしたものです。
インタビュー時間は、グループインタビューの場合は120分~150分程度、デプスインタビューの場合は、60分~90分程度が平均的です。
時間内で効率よく聴取するためにも、インタビューフローの作成はインタビュー調査の質に関わってくる重要なポイントです。
対象者のリクルーティング
定性調査における「リクルーティング」とはインタビューに協力してもらう人を選出することです。
インタビューは調査対象として、適したプロフィールや経験を有した方々を慎重に選定し、その意見を集めることに意味があるため、「リクルーティング」は定性調査の5つのステップの中で最も気を付けるべきポイントといえます。
弊社では、業界最大級のモニター数を保有しているマクロミルのネットワークを活用し、調査条件に合致する対象者を、スクリーニング調査などを通じて抽出することが可能です。
インタビューの実施
インタビューの実施は、専用のインタビュールームで行う場合がほとんどです。
電通マクロミルインサイトでは、自社専用のインタビュールームを2か所、フリースペースを1か所保有しており、あらゆるシチュエーションに対応可能です。
関係者が聴取するバックルーム、モニタールームなども完備しています。
▼インタビュールームの写真
また、遠方や外出が困難な対象者の場合は、オンラインでインタビューをすることも可能です。
デブリーフィング
弊社では調査後のデブリーフィングを重視しています。
デブリーフィングとは、インタビューを実施した後に、モデレーター、リサーチャー、モニタールームで傾聴していたプロジェクトの関係者全員で実施するインタビュー結果を振り返るためのミーティングです。
インタビュー後に、インタビューの結果を確認しつつ、発言の意味や背景、そして顧客の実態を推察するなどして、現状の課題を共有します。
分析レポートの作成
電通マクロミルインサイトでは、インタビューと当日のデブリーフィングの終了後に、インタビューの発言録の作成から、インタビュー調査から得られた示唆を記載した分析レポートの作成まで対応いたします。
ご希望に応じて、インタビュー時の録画データもお渡しや、報告会の実施もいたします。
発言録
インタビュー調査の参加者とモデレーター(司会)の発言を時間の流れに沿って記録したデータです。
分析レポート
対象者の発言をまとめて発言を分解し、わかりやすくビジュアル化したり、コメント・サマリを追記するなど調査結果を分析したレポートです。
インタビュー調査の中でのヒアリングのポイント
インタビュー調査で参加者から深い情報を引き出すには、行動、態度、そして意識という3つの側面を網羅することが重要です。
消費者が購買行動に至る背後には、製品選択の理由となる欲求や価値観(意識)があり、これが態度として表れ、最終的に製品の購入という行動に繋がります。
しかし、インタビューでいきなり意識について尋ねても、求めている回答は得にくいものです。そのため、インタビューでは以下の順序で進めると効果的です。
行動に関する質問から始め、
態度について理解を深め、
最終的に意識の探索へと移行します。
行動に関するインタビューの進め方
消費行動の背景を探る
最初に、日常生活における具体的な例を振り返りながら、消費行動とその背景を聞き出します。
日々無意識に行う習慣的な行動については、その理由を即座に答えるのは難しいものです。
そこで、日常の行動パターンから丁寧に情報を収集し、例えば「日常の買い物パターン」「該当カテゴリーの購入頻度や場所」「情報収集や検討プロセス」などを掘り下げます。これにより、その背後にある態度や意識に迫ることができます。
購買決定プロセスの確認
製品購入に至るプロセスの確認も重要です。購買決定に影響を与える要素を探るために、以下のような項目を質問します。
・認知しているブランド
・製品を知ったきっかけや動機
・情報源
・検討した競合製品
・比較検討の過程で重視した情報や内容
・最終的に選んだ製品とその理由
・価格に対する評価
このように段階を追って質問を進めることで、消費者の意識の深層にある動機や価値観を明らかにすることができます。
態度に関するインタビューの進め方
次に、態度に関する質問は、製品選択の背景、使用製品に対する評価や満足度、競合製品への見解、ブランド変更の可能性などを明らかにするために行います。
使用製品の評価の聞き方
使用製品に対する満足度を聞く際、「購入してよかったと思いますか?」や「満足した点、不満だった点は何ですか?」といった質問で全体的な評価を確認することができます。
また、「点数を付けるなら何点ですか?」と尋ねることで、高評価であっても満点に至らない細かいネガティブなポイントについて引き出すことが可能です。
競合製品の評価の聞き方
自社製品と合わせて、競合との優位点、劣勢点などを明らかにするために、競合製品についての評価も是非聞きたいポイントです。
「他社品と比較して購入を迷った点はありましたか」「他社品と比べてよい点、悪い点はありますか」「結果的にその製品を買った決め手は何ですか」といったように、様々な質問で消費者の本音を引き出す工夫が必要です。
スイッチングの可能性を探る聞き方
現在の自社商品の使用者であっても、将来的に競合製品への乗り換えを検討する可能性があります。
「次に購入する際、再び同じ製品を選びますか?」「現在関心がある他社製品はありますか?」と尋ねることで、継続利用の決め手や他社製品への興味を探ります。
日用品などでは「特にブランドにはこだわらない」「価格を重視する」といった回答が返ってくることもありますが、深掘りすることで意外な意見が得られることもインタビュー調査の魅力です。
意識に関する質問の進め方
行動や評価を聞き出したうえで、最終的に重要となるのは、製品選択の背後にある深層心理、すなわち消費者の欲求や価値観を明らかにすることです。この探求はインタビュー調査の核心とも言えます。
参加者の言葉を引き出す方法
行動、態度を聞き出す以上に、意識について消費者からの言葉を聞き出すことは難易度が高くなります。本人が普段自覚していなかったり、明確に言語化したことがない場合がほとんどだったりするためです。
引き出すための効果的なテクニックの一つは、参加者の発言を反映する「つぶやき」方式です。
例えば「手に入ると、自慢したくなるかぁ」「子育て中は忙しい、なるほど~。」といった形で、参加者のコメントを繰り返すことで、自発的にその続きを話したくさせることで、相手から言葉を引き出す方法です。
このように、行動、態度、意識という枠組みで質問を組み立ていくことで、消費者の本音や価値観を引き出せ、新たなインサイトの発掘につながります。
電通マクロミルインサイトのインタビュー調査の特徴
経験豊富なリサーチのプロによる一気通貫のサポート
あらゆるマーケティング課題に対し、業界に精通した経験豊富なリサーチャーが「調査前の課題整理から調査設計、インタビューフロー作成」「調査結果分析」「報告書作成」まで一気通貫でご支援します。
電通との共同プロジェクトで培ったノウハウと豊富な実績
株式会社電通のマーケティングリサーチ会社として、様々な業界・課題に対して、年間300件以上のインタビュー調査の実績があります。
また、調査テーマに応じて、経験豊富なモデレーターが対応します。
インタビュー調査の実施をお考えなら、電通マクロミルインサイトにご相談ください。
マーケティングリサーチのセミナーや自主調査企画も実施。