インタビュー調査の成果は、インタビュアーが果たす役割に大きく依存します。
インタビュアーは、ただ質問をするだけではなく、相手から価値ある情報を引き出すための重要な役割を担っています。
この記事では、インタビュアーの基本的な役割から、求められるスキル、インタビューを成功させるための具体的な準備や当日の流れまで解説します。
目次
インタビュアーとは?
インタビューを成功させるためには、まず「インタビュアー」がどのような役割を担うのかを正しく理解することが大切です。ここでは、インタビュアーの基本的な定義や、似た言葉との違い、そして活躍する場面について解説します。
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インタビューする側の人を指す言葉
インタビュアー(interviewer)とは、インタビューにおいて質問をし、相手から情報を引き出す「聞き手」側の人のことを指します。マーケティングリサーチにおけるグループインタビューやデプスインタビューで重要や役割を果たします。単に質問を投げかけるだけでなく、相手が話しやすい雰囲気を作り、対話を通じて本音や潜在的なニーズを引き出すことが求められます。
インタビュイーとの違い
インタビュアーの対義語として「インタビュイー(interviewee)」という言葉があります。これは、インタビューをされる側、つまり質問に答える「話し手」を指します。インタビューはこの二者間のコミュニケーションによって成り立ちます。以下の表で違いを明確にしておきましょう。
役割 | 英語表記 | 主な役目 |
インタビュアー | interviewer | 質問をし、情報を引き出す(聞き手) |
インタビュイー | interviewee | 質問に答え、情報を提供する(話し手) |
この2つの言葉は混同しやすいため、それぞれの役割をしっかり区別して覚えておくことが重要です。
インタビュアーに求められる5つの重要なスキル
良いインタビュアーになるためには、どのようなスキルが必要なのでしょうか。ここでは、相手の心を開き、価値ある情報を引き出すために特に重要となる5つのスキルを解説します。
スキル名 | 具体的な内容 | なぜ重要か |
傾聴力 | 相手の話に耳を傾け、深く理解しようとする姿勢 | 相手との信頼関係を築き、安心して話せる雰囲気を作るため |
質問力 | 話を深掘りし、本質的な情報を引き出す問いかけ | ありきたりな回答で終わらせず、価値ある情報を得るため |
コミュニケーション能力 | 場の雰囲気を作り、円滑な対話を進める力 | 相手の緊張をほぐし、本音を引き出しやすくするため |
論理的思考力 | 得た情報を整理し、要点を的確に捉える能力 | インタビューの成果を分かりやすくまとめるため |
準備力 | 事前リサーチや質問作成などの入念な準備 | インタビューの質を高め、スムーズな進行を実現するため |
相手の話を深く聞く「傾聴力」
傾聴力とは、相手の話に真剣に耳を傾け、深く理解しようとする姿勢のことです。相手が安心して話せる雰囲気を作るための最も基本的なスキルと言えます。ただ聞くだけでなく、相手の言葉の背景にある感情や意図まで汲み取ろうとすることが重要です。適切な相槌やうなずき、相手の言ったことを繰り返すなどのテクニックも有効です。
本音を引き出す「質問力」
質問力は、インタビューの質を直接左右するスキルです。単に用意した質問を順番に聞くだけでは、ありきたりな回答しか得られないことがあります。相手の回答を受けて、さらに話を深掘りする質問や、相手に新たな気づきを与えるような質問を投げかけることで、より本質的な情報を引き出すことができます。
場の雰囲気を作る「コミュニケーション能力」
インタビューは、インタビュアーとインタビュイーとの共同作業です。初対面の相手でもリラックスして話してもらえるような、和やかな雰囲気を作る能力が求められます。雑談(アイスブレイク)から自然に本題に入ったり、相手の表情や声のトーンから感情を読み取ったりと、円滑な対話を進めるための総合的な力がコミュニケーション能力です。
情報を整理しまとめる「論理的思考力」
インタビューで得た情報を、最終的に記事やレポートとしてまとめるためには、論理的思考力が必要です。相手の話の要点はどこか、最も伝えたいメッセージは何かを的確に捉え、情報を整理・構造化する能力が求められます。インタビュー中も、話があちこちに飛んだ際に本筋に話を戻すなど、会話を整理しながら進める上で役立ちます。
インタビューの質を決める「準備力」
質の高いインタビューは、入念な事前準備によって支えられています。相手のプロフィールや関連情報を事前に徹底的にリサーチすることで、より的確で深い質問ができるようになります。インタビューの目的を明確にし、それに沿った質問リスト(インタビューフロー)を用意しておくことも、スムーズな進行には欠かせません。この準備力が、インタビューの成否を大きく左右すると言っても過言ではありません。
インタビューを成功に導く事前準備の進め方
インタビューの成功は、当日を迎えるまでの事前準備で8割が決まると言っても過言ではありません。ここでは、インタビューを成功に導くための具体的な準備の進め方を4つのステップで解説します。
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インタビューの目的を明確に設定する
まず最初に、「何のためにインタビューを行うのか」「インタビューを通して何を得たいのか」という目的を明確にしましょう。目的が明確になることで、質問の軸が定まり、インタビュー全体の方向性がブレにくくなります。
(例)
- 目的:顧客満足度の高い導入事例記事を作成し、見込み顧客の不安を払拭する。
- 得たい情報:導入前の課題、導入の決め手、導入後の具体的な効果(数値)、今後の展望など。
対象者について徹底的にリサーチする
次に、インタビュー相手(インタビュイー)について事前に調べます。
弊社でインタビュー調査を実施する際は、事前にアンケートや電話などでヒアリングし、対象者の基本情報をきちんとおさえてから取り組みます。。
話の流れを意識した質問項目を作成する
リサーチで得た情報とインタビューの目的を基に、具体的な質問項目リストを作成します。質問は単に箇条書きにするのではなく、話の展開を意識して、「過去→現在→未来」といった時間軸や、テーマごとのブロックで構成すると、自然な流れでインタビューを進めることができます。全ての質問をする必要はありませんが、絶対に聞くべき重要な質問には印をつけておくと良いでしょう。
当日のタイムスケジュールを計画する
インタビューは限られた時間の中で行うことがほとんどです。そのため、当日のタイムスケジュールを事前に作成しておくことが重要です。全体の持ち時間から、挨拶やアイスブレイク、主要な質問、質疑応答、最後の挨拶といった各パートの時間配分を大まかに決めておきましょう。これにより、時間切れで最も聞きたいことが聞けなかったという事態を防ぐことができます。
インタビュー当日の流れと相手の心を開くコツ
入念な準備を終えたら、いよいよインタビュー本番です。当日は準備してきたことを基に、相手が心地よく話せる雰囲気を作り出すことに集中しましょう。ここでは、当日の基本的な流れと、相手の心を開くためのコツを紹介します。
アイスブレイクで場の緊張をほぐす
インタビューの冒頭では、すぐに本題に入るのではなく、まずは自己紹介や簡単な雑談(アイスブレイク)から始めましょう。相手の緊張をほぐし、リラックスした雰囲気を作ることで、その後の会話がスムーズに進みます。天気の話や、会場までの道のりの話など、当たり障りのない話題で十分です。
相槌やうなずきで「聞いています」と示す
相手が話している間は、単に黙って聞いているだけでは、「本当に話を聞いてくれているのだろうか」と不安にさせてしまう可能性があります。「はい」「なるほど」といった適切な相槌や、深くうなずくといったリアクションを意識的に行うことで、相手に「あなたの話に興味を持って真剣に聞いています」という姿勢を伝え、安心して話してもらうことができます。
相手が話しやすいオープンクエスチョンを活用する
質問には、「はい/いいえ」で答えられる「クローズドクエスチョン」と、相手が自由に回答できる「オープンクエスチョン」があります。インタビューでは、相手の考えや想いを引き出すために、オープンクエスチョンを積極的に活用しましょう。
- クローズドクエスチョン(例):「この機能は便利でしたか?」
- オープンクエスチョン(例):「この機能のどのような点が特に便利だと感じましたか?」
気になる点をさらに深掘りする
相手の回答の中に、特に重要だと感じたキーワードや、もっと詳しく聞きたいエピソードが出てきたら、すかさず深掘りの質問を投げかけましょう。「もう少し具体的に教えていただけますか?」「なぜそのように思われたのですか?」といった質問をすることで、話の核心に迫り、より深くて価値のある情報を得ることができます。
最後に感謝を伝えてインタビューを終える
予定していた質問が全て終わったら、最後に「本日は貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました」と、時間を割いてくれたことへの感謝を丁寧に伝えてインタビューを締めくくります。インタビュー後の記事公開の予定など、今後の流れについても簡単に説明しておくと、相手も安心できます。
これだけは避けるべきインタビュアーのNG行動
インタビューを円滑に進めるためには、避けるべき行動を知っておくことも重要です。
冒頭からいきなり質問を開始してしまう
対象者の緊張感がほぐれる前からインタビューを始めて、冒頭から本題の深い質問をするなど、本音を引き出せないままインタビューが終わってしまいます。
インタビューに入る前に、アイスブレイクもしくはラポール形成と呼ばれる、場を和ませて話しやすい雰囲気を作り、対象者に安心感を与えることが重要です。
インタビュアーに対して安心感や信頼感を感じることで、対象者は本音を話してくれるようになります。
「なぜ」を多用する
インタビューで行動や気持ちの背景を深堀するために、理由を聞く場面は多くあります。ただ、「なぜ~したのですか」という質問を繰り返してしまうと、対象者は責められているような気分や、正解を答えなければならないよう感じて身構えてしまう場合もあります。
「~をした理由を教えてください」「~という考えに至った経緯は具体的にどういうものですか」など、「なぜ」以外にも、様々な引き出しのテクニックが求められます。
質問ではなく、対象者との対話、傾聴という意識をもって挑むことが重要です。
先入観や仮説にとらわれてしまう
インタビューを実施前の仮説にこだわってしまい、対象者の意見を誘導してしまうような質問になってしまったり、先入観やバイアスがかかっていると、対象者の発言の意図を正しくくみ取れないということも起きかねません。
インタビュー前に仮説を立てるのは重要ですが、仮説にこだわりすぎると、仮説以外のことで興味深い発見があっても見逃してしまう場合があります。
経験豊富なインタビュアーによるインタビュー調査をお考えなら、電通マクロミルインサイトにご相談ください
本記事では、インタビュアーの基本的な役割から、必要なスキル、インタビューを成功させるための具体的な手順やコツについて解説しました。
インタビュアーとは、単に質問をする人ではなく、相手との信頼関係を築き、対話を通じて価値ある情報を引き出す重要な役割を担っており、インタビュー調査の出来を左右します。
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