ブランドリフト調査とは、広告やキャンペーンなどのマーケティング施策の効果を評価する手法の一つです。効果測定ツールでは明らかにできない、ブランド指標(認知度、評価、購入意向など)を測定することで、広告効果を把握できる調査です。
この記事では、ブランドリフト調査の方法や活用例について、マーケティングリサーチ会社として詳しく解説します。
・広告効果を定量的に評価していきたいマーケティング担当者
・クライアントに提供する広告キャンペーンの成果をより具体的に報告したい広告代理店担当者
・限られた予算内で最も効果的な広告戦略を構築したい方
目次
ブランドリフト効果とは
「ブランドリフト効果」とは、特定のキャンペーン広告やマーケティング活動によって、ブランドに対する認知度、評価、購買意向などがどれだけ向上したかを測定する指標のことです。
例えば、キャンペーン広告の効果を売上だけで計測すると、効果が不十分という結果になることもあります。しかし、キャンペーンによって消費者の認知度やブランドの好意度が高まれば、十分な効果と言えます。ブランドリフト効果では、売上以外の認知度や評価など間接的な指標も測定することでキャンペーンの効果をより定量的に測定することを目的としています。
下記の図のように、ターゲットとする消費者の中でもキャンペーンに接触した人と、そうでない人に対して同じ調査を行い、ブランドの認知度がどれだけ増加したのか、実際に購入意向をもったのか、などを比較することで、広告やキャンペーンの効果を評価・測定します。
下図の例では、「ブランド認知」はキャンペーンに接触した人では96.4%、接触していない人では、87.7%とその差分8.7ptが、ブランドリフト値です。
ブランドリフト効果の重要性
広告投資対効果の測定
ブランドリフト効果を測定することで、その投資が効果的だったか、どの程度の影響をもたらしたのかを具体的に知ることができます。
ブランドリフト効果は、広告接触者と非接触者を比較し、その差分をリフト値として抽出するため、広告効果を測定しやすい指標です。
広告の改善・最適化
キャンペーンの途中や終了後にブランドリフトを測定することで、どの広告やメッセージが効果的であったのか、どの部分に改善の余地があるのかを明確にすることができます。さらに特定のデモグラフィックやセグメントがどの広告に最も反応しているかを知ることができるため、ターゲット層の再定義や広告の内容・配信方法の調整が可能になります。
顧客理解と関係性の深化
ブランドリフトの測定は、消費者のブランドに対する認知や感情、態度の変動を捉えるものです。これにより、消費者がどのようなメッセージや価値に反応するのか、どのような点でブランドとの関係を深化させることができるのかヒントを得ることができます。
一方、市場は常に変化しており消費者の意識や行動も変わりやすい環境下において、ブランドリフト効果を定期的に測定することで、その変化にいち早く気づくための情報を手に入れることも可能です。
過去のキャンペーンとの比較が可能
ブランドリフト効果の測定をキャンペーンの都度行うことによって、キャンペーンの規模や施策ごとの効果を自社内に経験値として蓄積することができます。
過去の結果を蓄積することで、今回のキャンペーンが成功したのかどうかを容易に判断することができ、次回の計画に役立てるためのデータベースとしても使用することができます。
ブランドリフト調査の方法
ブランドリフトの調査方法には、「インバナーサーベイ」と「リードバナーアンケート」、「調査会社のモニタ利用」の3種類があります。
インバナーサーベイ
インバナーサーベイとは、YoutubeやFacebook等の広告プラットフォームに、オンライン広告のバナー内部で直接実施可能なアンケート調査のことです。
ユーザーがウェブサイトやアプリを閲覧・使用中に、広告バナー上にアンケートのポップアップが表示され、広告が表示されていたディスプレイ内でユーザーが直接回答を入力する形の調査です。
広告が表示された直後などにユーザーの反応を取得することができるというリアルタイム性や、手軽で一般的なオンライン調査よりも回答率が高いというメリットがあります。
ただし、ユーザーの体験を損なわないように、アンケートの設問数などには限りがあるので注意が必要です。また、回答欄が比較的小さいため、スマホで回答する場合の誤操作が発生しやすいなどの懸念もあります。
リードバナーアンケート
広告バナーをクリックすると、アンケート専用ページに遷移し、ユーザーに回答してもらうという方法です。
インバナーサーベイに比べると、専用のアンケートページのため、様々な項目の聴取が可能です。
ただし、他ページへ移動するため、インバナーサーベイに比べると回答率が低く、また回収コストは高めになるデメリットがあります。
調査会社のモニタ活用
調査会社によっては、TVCMやWeb広告、Youtubeなどの動画広告を計測可能な場合があります。
電通マクロミルインサイトでは、マクロミルグループのモニタを活用することができます。マクロミルモニタの一部のモニタは、TVCMの視聴ログを保有している他、予め指定した広告にタグを設置することで、モニタがWeb広告や動画に接触したかどうかを把握することができます。
この広告の接触情報をもとにブランドリフト調査を行うことで、キャンペーンの効果をより的確に把握することが可能です。
調査会社のモニタを活用する場合、調査の設計や結果の分析まで調査会社に委託することができるため、費用をかけられる場合は調査会社に相談をすることもおすすめです。
ブランドリフトの調査項目例
リードバナーアンケートの場合は、専用のアンケートページを準備するため、インバナーサーベイと比較すると、様々な項目について聴取することも可能です。
例えば、次のような項目ですが、すべての場合に全問アンケートするのではなく、目的や事例に応じて必要な項目に絞ります。
ブランドリフト調査の結果の活用方法
クロスメディアの効果測定
広告やキャンペーンは、特定の媒体のみではなく、クロスメディアで実施することが主流になってきています。
テレビ広告だけに接触したユーザー、SNS広告に接触したユーザー、両方に接触したユーザーそれぞれでブランドリフト効果がどのように変化しているのかを測定することで、適切なメディアミックス戦略の策定のヒントになります。
下記の例では、YoutubeとテレビCMの両方に接触したユーザーが、ブランド認知・購入意向ともに高くなっている傾向が読み取れます。
最適な接触回数の可視化
また、ブランドリフト状況を測定する際に、各メディアの最適な接触は何回なのか、を計測することでメディア出稿量の調整に活かすことが可能です。
例えば下記の例では、購入意向と接触回数の関係性を表したグラフですが、YouTubeは段階的に増えていき4回目の接触でピークを、TVCMは2回目の接触でピークを迎えています。
このように媒体ごとの最適な接触回数を満たすために出稿量を逆算して決めることが可能です。
ブランドリフト調査における電通マクロミルインサイトの強み
電通の卓越したマーケティングコミュニケーションノウハウ
広告会社として多くのブランド戦略を立案している電通と共同でプロジェクトを実施した経験から、ブランドリフト調査の実施について豊富な事例を有しております。
マクロミルの保有する多彩なデータとテクノロジーの活用
親会社であるマクロミルからマーケティングデータの優遇提供を受けており、WEBログ・購買データ・意識データなど多彩なデータアセットを活用・分析できる環境があります。
マクロミルではモニタのTVCM、Web広告、動画広告の視聴・接触ログを保有しており、ブランドリフト調査を行う際にこれらのデータを元に調査を実施できることが強みになります。
徹底した生活者理解に基づく、ブランド価値の探索
私たちの強みである、お客様の課題に向き合い多面的なデータの分析によってブランドの課題を特定する、というアプローチはブランドリフトにも活用できます。
ブランドは生活者の感情に働きかけるものであり、そのためには生活者の理解が欠かせないからです。
ブランドリフト調査のことなら、電通マクロミルインサイトにご相談ください。
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