「このブランドだから品質もしっかりしているから安心」「いつか憧れのこのブランドを持ちたい」などと、消費者は心の中に、ブランドに対する様々な期待や感情、思い出、経験などからイメージを抱いています。そのイメージが強ければ強いほど、消費者の購買意欲を刺激し、ブランドへの忠誠心を高めることができます。
この記事ではブランドイメージを確立・向上させるメリットや、調査方法についてマーケティングリサーチ会社として解説します。
・新規事業や新サービスの立ち上げを検討されている方
・ブランド戦略や広告キャンペーン立案を行っているマーケティング担当者
・自社のブランド戦略の見直しを検討中の方
目次
ブランドイメージとは
ブランドイメージとは、消費者が特定のブランドに対して抱く印象、イメージ、感情、認識を指します。
例えば、ファッションブランドも様々存在し、「高級」「エレガント」「憧れ」というイメージを抱かれるブランドもあれば、「親しみやすい」「カジュアル」といった印象を持たれているブランドもあります。
こういったイメージは、各ブランドの長年の広告やマーケティング、製品の質やデザイン、顧客との関係性などによって形成されています。
ブランドイメージは企業にとって非常に重要な資産とされています。強いブランドイメージがあると、消費者はそのブランドの製品やサービスを選びやすくなります。また、良いブランドイメージは口コミや紹介につながり、新しい顧客を獲得する助けとなることが多いです。
一方で、何らかのネガティブな出来事(例えば、製品のリコールや不祥事)が起きた場合には、どんなに素晴らしいブランドでもイメージが大きく傷つく可能性もあり、ブランドイメージを維持、向上させていく取り組みはとても重要です。
ブランドイメージは人々の気持ちを反映させたもので、この気持ちがポジティブであればあるほど、そのブランドの成功確率は高くなります。
ブランドイメージを向上させるメリット
価格競争からの脱却
良好なブランドイメージが消費者の中に形成されていれば、製品やサービスの価値を価格だけで判断されることが少なくなり、他の製品よりも高額であっても、「このブランドだから高くても買う」という顧客が納得する理由を与えてくれます。
これにより、低価格競争を回避し、より良い利益率を確保することが可能になります。
競合企業との差別化
ブランドイメージが強固なものであれば、競合に対して差別化することが容易になります。
特に多くの類似商品が存在する市場において、消費者の選択時に大きなプラス要因となります。ブランド特有の価値やストーリーは、消費者の心に響き、競合との違いとして認識されやすくなります。
ロイヤルユーザーの獲得
ロイヤルユーザーは、新製品の購入や口コミによる紹介など、ブランドの成長をサポートしてくれる貴重な存在です。また、ブランドイメージを確立し消費者に安心感や信頼感を与えられると、一度そのブランドを利用した消費者が、再度そのブランドをリピートしてくれる可能性が高くなります。
広告宣伝費の抑制
ブランドを確立し、既存顧客を囲い込むことができれば、広告宣伝費を大幅に削減できる可能性があります。
大々的な広告宣伝活動を行わなくても、自然とそのブランドの話題や製品情報が拡散されやすいためです。ロイヤルユーザーは自らアンバサダー的な立ち位置で口コミや紹介を行ってくれることがあり、結果的に広告宣伝費の削減が期待できます。
ブランドイメージの関連語
ブランド認知度
ブランドイメージを把握する前に、ブランド自体がどれだけ知られているかという「ブランド認知度」を測ることが重要です。
認知度を測る方法としては大きく2点の聴取方法があります。
純粋想起
純粋想起とは、手がかりやヒントを与えずに「●●と言えば、何を思い浮かべますか?」という質問の仕方です。
例えば「緑茶飲料といえば?」「食器用洗剤といえば?」のように、特定の商品カテゴリーを提示して、回答に自社商品/ブランドの名前が挙がってくれば、認知度が高いといえます。
助成想起
助成想起とはヒントなしの純粋想起と異なり、例えばブランド名や商品銘柄、商品のパッケージ画像を複数列挙して「次の中で知っているブランドを選択してください」と質問することで、認知度を測る方法です。
助成想起は、消費者がある程度認知しているが、すぐには思い出せないようなブランドについて測る場合に有用です。
ブランディング
ブランディングとはブランドの価値やイメージを向上させる一連の施策を指します。
ブランディングは、広告やマーケティング活動だけでなく、製品の品質、カスタマーサービス、社内文化など、企業活動全体に影響を与えます。効果的なブランディングによって、企業は高いブランド認知度と信頼性を築き、長期的に顧客との良好な関係を維持することができます。
ブランドロイヤリティ
ブランドロイヤリティとは特定ブランドに対する消費者の忠誠心、選好度を意味します。
言い換えるとブランドロイヤリティが高い消費者は、そのブランドに対して忠誠度が高く、新製品の導入に際してもそのブランドを選びやすく、口コミでの推薦も積極的に行う傾向があります。また、長期的に見れば、顧客獲得のコストを下げ、生涯顧客価値(LTV)を高めることができます。
ブランドエクイティ
消費者の心に存在するブランドに対する認識、感情、印象、そしてそれによって生じる顧客のブランドロイヤリティなど目に見えない価値を、企業資産、資産価値として捉える考え方です。
無形で目に見えないブランドを有価証券や不動産などと同じように企業が持つ資産として評価をし、育成や投資などをして価値を向上させていくことが重要になります。
ブランドイメージ把握でおすすめする調査方法
デスクリサーチ
自社のブランドイメージを把握したい場合、既に行われている調査やデータを活用する方法があります。デスクリサーチとは、信頼のできる既存の調査結果、データ、文献などを情報収集する調査方法です。
例えばブランドに関する調査では、次の二点があります。
日経企業イメージ調査
日本経済新聞社が1988年より実施している、「日経企業イメージ調査」です。年に1度、首都圏のビジネスパーソンや一般個人に調査の協力を依頼し、約700社の企業のイメージを調査しているデータです。
出典:https://marketing.nikkei.com/media/newspaper/column/cis/
ブランド・ジャパン
また、日経BPコンサルティングが年1回調査している「ブランド・ジャパン」では、のべ1,500ブランドの価値を、5万人超の生活者とビジネス・パーソンが評価する調査で、ブランド名と企業名から、経年での分析と競合比較が可能です。
出典:https://consult.nikkeibp.co.jp/branding/brand-japan/
このように既に存在している調査データを活用することも一つの手段です。
新たに調査を実施する手間とコストを抑えながら、現状把握や仮説構築に活用できる点がメリットです。
ただし、デメリットとしては、次のようなものがあります。
・自社のブランドが含まれていない場合がある
・聴取したい項目やイメージが含まれていない場合がある
・調査したいターゲットが異なる場合がある
自社独自の調査を行いたい場合は、次に紹介する「定量調査」「定性調査」を行う必要があります。
定量調査(インターネットリサーチ)
ブランドの市場全体(世間一般)での認知度やイメージを把握するにはインターネットを使ったアンケート調査(ネットリサーチ)で定量的に調査するのがおすすめです。
アンケート調査(ネットリサーチ)では比較的低コストかつ短期間で回答を集めることができ、世間一般の中での浸透度やイメージを広く調査することができます。
例えば世間一般のイメージを測る際には、回答者に偏りが出ないよう人口の構成比に合わせてアンケートを行う必要がありますし、反対に特定の年代や属性のみに絞ってアンケートを行うことも可能です。
また、事前調査を行ったうえで、ブランドを認知している人やブランドの購入者、リピートしているユーザーを調査対象者にアンケートすることが可能です。
定性調査(インタビュー調査)
ブランドイメージに対しての印象や、その理由などを深く知りたい場合には、インタビュー調査がおすすめです。そのブランドのファンだけでなく、競合ブランドのユーザーにも意見を聞くことでより深く定性的に自社ブランドの分析ができます。
定量調査をする前にインタビューを実施し、定量調査で検証する仮説構築に活用する事もできます。また、先に定量調査を実施し得られた結果からより深い消費者インサイトを確認する場合にもインタビュー調査は有効です。
ブランドイメージを構築するためのステップ
自社ブランドの価値源泉を理解する
まずは、自社ブランドが消費者にどのように受け入れられているのかを把握することからスタートします。
定量調査によってブランドの認知や連想価値・パーソナリティを把握することはもちろん、インタビューなどの定性調査でも生活者が自社のブランドに対してどのような価値を抱いているのか、形成要因などを聴取し可視化してきます。このような作業から自社ブランドの価値の源泉がどこにあるのかを丁寧に把握していきます。
向上させたい価値を明確化する
ブランド価値の源泉を理解できたら、そのブランド価値をどのように育成・拡張していくのかを検討します。ブランド認知者・理解者の拡大なのか、マインドシェアの向上によるロイヤリティ向上なのか、具体的な目的を整理していきます。
向上したい目標を数値化する
向上させたいブランド価値を明確化できたら、具体的な指標を決め、それをKPIとして定めていきましょう。
ブランドのKPIは、狙いたいブランドイメージを指標としたり、ロイヤリティを指標化したものを定めます。
ブランドイメージ向上に向けた施策の実施
KPIを定めたら、プロモーション施策を計画し実行します。顧客体験を良い方向へ変化させる取り組みを複数決定し、接点ごとに具体的な活動に落としていき、施策を実行します。
また、KPIを定めることで施策の効果が出ているかどうか、PDCAサイクルを回すことで取り組みの効果精度を高めていきます。
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電通の卓越したマーケティングコミュニケーションノウハウ
広告会社として多くのブランド戦略を立案している電通と共同でプロジェクトを実施した経験から、リサーチでのブランド価値調査の、豊富な実績と具体的なノウハウを有しております。
徹底した生活者理解に基づく、ブランド価値の探索
私たちの強みである、お客様の課題に向き合い多面的なデータの分析によって課題を特定する、というアプローチはブランド価値向上にも活用できます。ブランドは生活者の感情を動かすものであり、そのためには生活者の理解が欠かせないからです。
顧客起点のブランド価値の導出をお手伝いいたします。
データからの示唆読み取り
ブランドは生活者の情緒的な側面を動かすもののため、指標化することは難しい領域です。
その中でも、私たちがアクセスできるデータを活用し、生活者のどのような行動がブランド形成に寄与するか、意識データからブランドに関して読み取れることを探っていきます。
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