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マーケティングリサーチコラム

マーケティングリサーチの電通マクロミルインサイト TOP マーケティングリサーチコラム 海外マーケティングの重要なポイントと始めにすべきこととは?

海外マーケティングの重要なポイントと始めにすべきこととは?

海外マーケティングの重要なポイントと始めにすべきこととは?

海外へ旅行に訪れた際、現地で文化や習慣の違いに驚いた経験がある方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

多くの「違い」がある国外の地へ進出を成功させ、世界的に有名な日本企業は多くあります。
これらの企業の成功のポイントは何だったのでしょうか?

海外マーケティングを成功させるためのグローバルリサーチなどを年間多数実施するマーケティングリサーチ会社として、グローバル化が進む今、日本の企業が海外に進出する際のポイントについて詳しく解説していきます。

海外マーケティングとは?

「海外マーケティング」と聞いて何を連想しますか?

ターゲットが国内ではなく、海外の人や企業になることで、「言語」や「文化」の違いがネックになることが容易に想像できます。その他にもたくさんの「違い」に直面するでしょう。

まずは、海外マーケティングの概要を解説していきます。

海外マーケティングの概要

「海外マーケティング」とは、自社の商品やサービスが海外で売れるような仕組みを作ることです。

日本で成功し、さらなる市場拡大のために、海外市場へとマーケット拡大を狙う企業が多く存在します。また、日本国内における市場が縮小・停滞している場合、海外へ市場を拡大する必要が出てくるでしょう。

海外に進出するには、準備のための時間やコストはかかるものの、国内よりマーケットが大きい海外に進出し、そこで成功できれば大きな利益を得ることができます。

国内から国外の市場への進出する場合、市場が国内から海外に変わるため、進出する国や地域に合わせた「海外マーケティング」を行うことが重要になります。

国内と海外におけるマーケティングの違い

日本国内と海外とでは、数えきれないほど多くの「違い」があります。
今回は、海外ビジネスで考慮するべき代表的な事例をいくつか紹介していきます。

「言語」や「文化」の違い

進出する国や地域によって「言語」が異なります。その地によって「文化」も異なり、「生活習慣」や「宗教」も異なります。日本で当たり前と思っている概念や習慣が海外では通用しないケースが殆どです。

「通貨」の違い

「通貨」についても「円」ではなくなり、その国や地域の通貨になります。商品販売にかかるコストや商品そのものの代金も販売先の国の独自の通貨になります。また、金額表示やコストの考え方にも国によって違いがあります。

「広告戦略」の違い

「有効な広告」も国や地域によって異なります。日本と同じようにオンライン広告が有効な国もあれば、オフラインの広告の方が効率的な国も存在します。そのため、その国や地域でどのような広告が消費者に効率よくリーチ(接触)できるのか、または好まれるのかなどをしっかり調べ、選ぶ必要があります。

「企業(海外:現地企業)の意思決定までのスピード感」の違い

日本国内と海外では、ビジネスの「意思決定のスピード」が異なります。具体的な例を挙げると、日本ではじっくり検討し、最適な案を採用し実行するのに対し、海外ではいくつか実行して反応が良いものを本格採用するという方法がよく行われます。戦略を決める方法やスピード感にも違いがあるのです。

やり方や概念に多くの違いがあることに留意し、日本国内の常識を一旦捨て、その土地に合わせてマーケティング活動を行っていく必要があります。

海外においてマーケティングを成功させるコツ

海外でマーケティングを成功させるコツを一言で言うと「固定観念にとらわれない柔軟さを持つ」ことです。

文化が異なる海外では、日本の考え方や常識が通用しないことが多くあります。進出する国や地域に合わせ製品やサービスを「ローカライズ」させることが大切です。

そこで必要になってくるのは「信頼できる現地人のパートナーを確保する」ことです。

現地の人の生活や文化、考え方に沿った売り方や戦略を考える必要があるため、現地の文化を理解した「現地パートナー」と相談し合い、連携してマーケティング活動を行うことができれば、より良い成果を出すことができ、会社の競争力を高めることができるでしょう。
進出をする地に信頼できるパートナーがいれば、気軽に相談ができ、自社の考えや、やりたいことの意図を理解して、現地の言葉に正しく訳すことが可能になります。

また、商品販売を手助けしてくれる現地人のサポートも必要になるため、それらを任せることができる人材を確保することは、海外進出をする上で必須となります。

海外マーケティングにおいて有効な方法の例

海外進出の際にプロモーション戦略を行う場合、その方法は様々あります。
その国や地域に適したメディアや媒体を選び、ターゲットに合わせて適切に運営、管理していく必要があります。
今回は主にオンライン広告に絞り、いくつかのデジタルマーケティングの手法を解説していきます。

SNSマーケティング

SNSマーケティング」とは、SNSSocial Networking Service/ソーシャルネットワーキングサービス)を利用して、自社の商品やサービスを知ってもらうための仕組みをつくることです。

具体的には、企業がSNS上に自社のアカウントを開設し、利用者とコミュニケーションを測ったり、SNS上に広告を出稿したりといった形で展開されます。

SNSの特徴は、「高い拡散力」です。FacebookInstagramには「シェア」機能、Twitterには「リツイート」機能があります。これにより驚くべき速さで情報が拡散できます。

海外でSNSマーケティングを行う上での留意点は、国により普及しているサービスが異なることです。

例えば、中国では原則「Facebook」「Instagram」「Twitter」などが使えません。
日本ではコミュニケーションのツールとして「LINE」アプリが普及していますが、中国では、「WeChat」が主流です。アメリカでは「WhatsApp」がよく使われています。

このように国や地域によって普及しているSNSのサービスが異なります。海外でSNSマーケティングを行う際、進出する国や地域でどのようなSNSが普及されているか、ターゲット層がどのようなSNSを使用しているかを調査する必要があります。

サーチエンジンマーケティング(SEM

サーチエンジンマーケティングとは、Googleなどの検索エンジンから、自社サイトや自社のコンテンツへの訪問者を増やすためのマーケティング手法です。一言でいうと「検索エンジンを最適化すること」です。

SEMとは「Search Engine Marketing」の頭文字をとった略称です。

代表的な手段として「SEO(検索エンジン最適化)」や「リスティング広告(検索連動型広告)」があります。

SEO

SEO」とは、顧客のニーズに沿ったコンテンツをつくり検索結果に表示させることです。

具体的には、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで自社サイトや製品・サービスなどが検索で上位になるように改善を行なうことをいいます。企業が上位表示させたいサイトのコンテンツを充実させていく活動を「SEO対策」と言います。

リスティング広告

「リスティング広告」とは、検索エンジンで検索したキーワードに関連した広告を検索結果画面に表示する広告のことです。リスティング広告は入札方式となっているため費用さえ投入すれば表示順位・地域・文字内容(テキスト)、リンク先となるURLをコントロールすることが可能になります。

動画マーケティング

「動画マーケティング」とは、動画(映像コンテンツ)を活用した集客、宣伝活動、販売戦略のことです。製品・サービスの認知度アップ、興味・関心の向上やブランディング、購入や申し込みといったコンバージョンまでを指します。

「動画マーケティング」が注目される理由としては、通信環境・ソフトウェアの整備が進み、動画活用のプラットフォームが進化していることが背景にあります。個人でも簡単に動画を作成し、発信できるようになっている現在「YouTube」「TikTok」などの動画コンテンツのユーザーが増え、動画配信プラットフォームの人気は年々高まっています。

情報が多く理解しやすいことや、一般生活者の記憶に残りやすいというメリットがあり、配信プラットフォームが豊富にあり、様々な場所で生活者に動画を届けることができる点も動画マーケティングのポイントです。

口コミ・レビューマーケティング

ユーザーから寄せられるレビュー(製品・サービスの評価や感想)をコンテンツとして活用するマーケティング手法です。レビューマーケティングまたは口コミマーケティングとも呼ばれます。

ユーザーから寄せられたレビュー(口コミ)がSNSなどで拡散されれば、商品・サービスのPRだけではなく、まだ自社のユーザーではない、見込み客を新規の顧客として低コストで獲得することが可能になります。

製品・サービスを選ぶ際、口コミを参考にする人が多いことや、商品のレビューが購買意欲に与える影響が大きいため、「口コミマーケティング」はとても重要な手法と言えます。

O2Oマーケティング

O2O(Online to Offline)マーケティングとは、「オンライン」(WEBサイト、SNS、インターネット広告など)で情報発信をして集客した人を、「オフライン(実店舗など)」へ誘導し、購買を促進させる施策のことです。

スマートフォンの普及やインターネットの発展が背景にあり「O2Oマーケティング」は近年注目されているマーケティング戦略です。実店舗がある企業も、効率のよい集客のためには「ネット」で情報を発信することが必至となってきています。

企業が行う具体的な施策の例としては

・閲覧者やフォロワーに対し来店時に使えるクーポンの発行

GPSを利用してチェックインを行うとプレゼントを渡す などです。

このようにオンライン上で実店舗への来店の動機を作ることが「O2Oマーケティング」という手法です。

OMOマーケティング

OMO(Online Merges with Offline)マーケティングとは、直訳すると「オンラインとオフラインの併合」という意味です。オンラインとオフラインの境界にこだわりなく、双方を併合することが目的です。

インターネット(オンライン)とオフライン(実店舗)における境界線を取り除き、顧客ニーズに合わせた製品やサービスを提供し、顧客体験の最大化を目指すというものです。

企業が行う具体的な施策の例としては

・オンラインで購入した商品を店舗で受け取れるサービス

・飲食店などでのモバイルオーダー などです。

これにより、企業側は、発送の手間がなくなりコスト削減にも繋がります。事前にモバイル端末で注文を行い、商品を受け取る仕組みがあれば、顧客にとっても待ち時間の短縮に繋がります。個人情報や好みのオーダーなどの顧客情報を企業は入手することができるため、企業側にもメリットがあります。

このように「OMO」を企業が積極的に導入することで、良好な顧客体験を提供できるだけでなく、事業の拡大も期待できます。

海外マーケティング戦略の立て方

国内と海外とでは、大小様々な「違い」が存在するものの、マーケティング戦略の立て方は国内マーケティングと大きく変わりはありません。

「自社をしっかり知ること」、また「進出する市場(海外の場合その国や地域)をしっかり知ること」が重要です。

ここからは、自社分析と市場調査を行う上でのポイントをご紹介していきます。

自社分析と市場調査

「自社分析」とは、自社の「強みとなる点」「弱みとなる点」について知ることです。

「市場調査」とは、対象となる市場について調べ、その市場を理解することです。

海外進出を行う場合、海外における市場拡大が実現できそうかを見極める必要があります。市場調査を行うことで、進出を考えている国や地域の「ニーズ」や「競合他社」を理解することでできます。

フレームワークを利用した分析で有効な分析方法を3つご紹介します。

3C分析

「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」3つの要素の相互関係を分析すること

SWOT分析

内部環境を「強み(Strength)」、「弱み(Weakness)」に分け、外部環境を「機会 (Opportunity)」、「脅威(Threat)」に分類して、自社を取り巻く環境やポジションを把握する方法

PEST分析

「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の4つの切り口で分析するもの

海外市場の調査でも、調査対象国や特性によってリサーチの方法も異なってきます。

例えば先進国での調査では、日本と同じくオンラインでの調査も可能ですが、インターネット環境が整備されていない新興国での調査では、訪問調査やグループインタビューなどが適している場合もあります。
日本では考えられない想定外のハプニングやトラブルが起こる場合もあるため、リサーチ実績の豊富さが重要視されます。

また、多国籍での展開や現状把握のために、複数の国・地域で同時期に同一内容の調査をする場合もあります。文化や背景が異なる国で同じ品質で実施する必要があるマルチカントリー調査では、各国に対する理解と調査を円滑に企画実施するノウハウ・経験が必要となります。

マーケティング分析の代表的な手法・フレームワーク15選と頻出用語

7つのPを定める

マーケティング戦略を定める時、下記の7つの「P」に対する答えを出すと戦略立案がし易くなります。

  • Policy(指針):製品やサービスを提供する理由、最終目的
  • Product(商品):商品やサービスの強み、アピールポイント/どのような価値を市場に提供するのか
  • Plan(計画):商品やサービスの提供開始までの中長期的な計画
  • Point(時期):海外市場へ参入するタイミング
  • Price(価格):商品やサービスの提供価格
  • Place(場所):商品やサービスを提供する国、場所
  • Promotion(宣伝):商品やサービスを知ってもらうための広告媒体/どのような販促を行うのか

上記のうちの4つのPProduct(商品)/Price(価格)/Place(場所)/Promotion(宣伝))については、「4P分析」という有名な分析手法でご存じの方も多いかもしれません。

P分析とは、マーケティング施策を企画・立案する際に用いられる分析手法で、自社製品・サービスを4つの視点から分析し、その強みやアピールポイントをマーケティング企画に活かすフレームワークです。

これに「Policy(指針)」「Plan(計画)」「Point(時期)」を追加することで、より計画的で実現可能な戦略立案が可能になります。

「違い」をヒントに戦略を立案する

海外展開をするに当たって、事前調査を実施することや、マーケティング戦略を立案し正しく管理、実行することはとても重要です。海外には国内とは多くの「違い」が存在するため、進出する国や地域、人々の生活を理解するためにも事前のリサーチは必須といえます。

世界的な規制緩和によるグローバル化や、インターネットの普及に伴いグローバルマーケティングの流れはさらに加速しており、大企業のみならず中小企業の間でも進んでいます。

日本国内における市場が縮小・停滞していく中で、日本企業は海外市場拡大の必要性が更に強まっていくでしょう。国内と海外での「違い」をしっかり理解し対応できれば、現地の企業や人々に需要される商品・サービスの提供ができるようになるでしょう。

違いを知り、それをヒントに戦略を立て、さらなる市場拡大を目指してみましょう。

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執筆者|株式会社電通マクロミルインサイト 経営企画 マーケティングプロジェクト 編集チーム
ホームページコンテンツの企画、監修、執筆を担当。
マーケティングリサーチのセミナーや自主調査企画も実施。

監修|芦沢広直 株式会社電通マクロミルインサイト シニアリサーチスペシャリスト
旧:電通リサーチ(現:電通マクロミルインサイト)に入社後、マーケティングリサーチャーとしてメーカー・サービス会社・官公庁・媒体社のマーケティング戦略に関わる調査に従事。㈱マクロミルネットリサーチ総合研究所研究員を経て現職。消費者意識の変化、ニーズの発掘とブランド価値の設定、コミュニケーション戦略の検証プロジェクト実績多数。

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