電通マクロミルインサイトでは、長年培ってきた定量・定性調査のデータと解析力をベースに、”人“を基点とした新しいソリューション手法、インサイトやトレンドに関する多角的な情報・メソッドを開発、情報発信していく「人と生活研究所」を運営しています。
主に未来予測やウェルビーイング研究を実施しており、2022年には「生活者の主観的幸せの方向性分析」を行い、主観的な幸せの方向性の9因子を導き出しました。
その9因子をもとに、若者のメディアの捉え方を理解して今後のメディアの可能性を探るために、電通メディアイノベーションラボと立教大学 社会学部 メディア社会学科 砂川浩慶ゼミの皆さんにご協力いただき、未来の幸せとメディアとの関係性がテーマのワークショップを実施しました。
その様子の一部をレポートいたします。
目次
電通メディアイノベーションラボとは
電通メディアイノベーションラボとは、2017年に発足し、電通の長年のメディア・オーディエンスを研究しているプロジェクトです。
1947年に推定を開始し毎年発表している「日本の広告費」、1993 年より毎年発行している「情報メディア白書」をはじめ、様々なコンテンツを制作・発信しています。
生活者の視点に立ち、コミュニケーションを取り巻く環境や、多様化する人々の情報行動の変化の兆しを捉え、メディア社会の全体像を見通すための調査研究・情報発信や、その中で求められるコミュニケーション活動についての提言を行っています。

今回の取り組み
デジタル技術の進化とともに、メディアは単なる情報伝達手段にとどまらず、生活者の心や行動に直接作用する存在へと変化しています。
このような背景をもとに、メディアが人々の幸福感や豊かさにどう貢献し得るのかを探るため、今後のメディアの可能性を探る電通メディアイノベーションラボと、ウェルビーイング研究を推進する電通マクロミルインサイト(以下、DMI)人と生活研究所が共同研究を行い、さらに未来を担う学生たちが描く「10年後の幸せ」と「メディアの役割」を通じて、私たち自身もその本質に立ち返る機会となることを目指しました。
2025年6月のワークショップ第1回目、当社の人と生活研究所メンバーと、電通メディアイノベーションラボのメンバーで、立教大学の砂川 浩慶ゼミを訪ねました。
電通メディアイノベーションラボが発行する「日本の広告費」や「情報メディア白書」に加えて、これまで電通メディアイノベーションラボが実施した調査やグループインタビューの結果を紹介し、学生の皆さんに昨今の「テレビ視聴の変化」や「年代別のメディア接触・意識」といったメディアに対する知識を深めてもらいました。

次に当社からは、マーケティングリサーチの役割は「その人自身が意識していない根源的な欲求や、深層心理=インサイト」を導出するという点であることを解説し、具体例としてα世代のメディア視聴実態、Z世代に関する独自調査について紹介しました。
さらに、「人と生活研究所」で実施した「生活者が何を幸せと感じるか、その主観的幸せの方向性」調査から導き出した、主観的幸せの方向性9因子について提示しました。

そのうえで、今回学生の皆さんに、
その幸せにどのようなメディアがどのように貢献しているか。」
といったテーマでグループディスカッションと発表に取り組んでいただきました。

学生の皆さんのグループディスカッションと発表の様子
普段何気なく接しているメディアの未来と、自分の幸せの関連性とは?そしてそれが10年後どのように変化しているのか?
難しいテーマでしたが、学生の皆さんは真摯に議論してくれました。
1班の発表内容
1班では「幸せの9因子」を軸に、今と未来の幸せについて考察してくれました。
SNSによる承認欲求や、推し活・趣味といった「はまる幸せ」、動物との触れ合いを通じた「愛の幸せ」など、それぞれの幸せと、メディアがどう関わっているかを導き出す一方で、使い方次第では“疲れ”や“比較”を生む側面もあり、メディアとの距離感が今後の幸せに影響を与えるとの示唆もありました。
10年後もメディアは身近な存在であり続けるからこそ、どのように向き合うかがより重要になる。そんな気づきに満ちた議論となりました。

2班の発表内容
2班では次の3つの軸で考えた内容を発表してくれました。
学生の皆さんは「ライフスタイルの変化」「技術革新」「メディア」の3軸から、10年後の幸せとメディアの役割を考察してくれました。今は“自分のため”の幸せが中心でも、30歳を迎える頃には“誰かのため”へと意識が変わるのではという視点が印象的でした。
イマーシブメディアやバーチャル空間など技術の進化により、距離を超えてつながることが当たり前になる時代、メディアは「出会い」や「共感」を創出する手段としてより身近で感情的な存在になる、そんな未来像が語られました。

3班の発表内容
3班では、「幸せとは何か?」という問いに対し、学生の皆さんの意見は多様でしたが、「家族とのつながり」や「コミュニケーションの喜び」が共通のキーワードとして浮かび上がりました。ドラマや配信サービスを通じて、離れていても感情を共有できるようになった今、メディアは会話のきっかけであり、家族をつなぐ手段として機能している点が共通の意見だったようです。
10年後、家族のかたちが変わり同じ時間・空間で視聴することは少なくなるかもしれないが、ARグラスなどの新技術がつながりを補完する役割を担うのではないか、そんな未来像が語られました。
メディアがあるからこそ保たれる“家族の幸せ”という視点が印象的でした。

4班の発表内容
4班では、特に周囲との「つながる幸せ」に重きを置かれて、今後、人口減や孤立化が進むからこそ、その比重がさらに大きくなると予想してくれました。
そのうえで、メディアは情報を伝えるだけでなく、人と人をつなぐ“存在”そのものになるのではないか、という新たな視点が生まれました。リアルとリモートを横断する交流の場づくりや、孤独を和らげるコンテンツ設計など、メディアが果たす役割はますます広がるのでは、という気付きがありました。

ワークショップに参加した学生の皆さんの感想は?
「今回の特別講義を通じて、メディアとの関係を見直すとともに、社会との接点についても考えるきっかけを得ることができた。」
「変化し続ける社会のなかで、自分にとっての幸せやメディアとの関わり方はきっと変わっていく。だからこそ、社会や自分の価値観を見つめ直すために人と語り合う機会や現状分析を大切にしたい。」
といったフィードバックをいただけたことで、真摯に課題に向き合っていただいたことや、実施したことの意義を強く感じました。
今後の動き
今後は、このディスカッションで得られたインサイトと合わせて、次回の学生の皆さんとの交流を通じて、未来のメディアの役割と幸せとの関係性について、独自調査を行っていく予定です。
交流の様子と、調査結果については、またお知らせしていきます。
関連調査
関連する調査レポートは下記からダウンロードできます。
「α世代・Z世代の実態調査」①メディア接触・SNS利用実態編」調査レポート
「α世代・Z世代の実態調査」②ECサイト利用実態/認知チャネル/推し活・エンタメ編」調査レポート
「Well-being研究 生活者の主観的幸せの方向性について」調査レポート
マーケティングリサーチのセミナーや自主調査企画も実施。