企業を取り巻く環境が急速に変化するなかで、生活者が企業に抱く印象はブランド価値そのものに直結します。広告やPR活動を強化しても、そもそも生活者の頭の中にある「企業イメージ」が把握できていなければ、戦略は空振りに終わってしまいます。
そこで活用されるのが企業イメージ調査です。本記事では、企業イメージ調査とは何か、どのような質問項目を設計すべきか、さらに結果をブランド戦略へどのように反映するかまで、調査設計の実務に落とし込んで解説します。
目次
企業イメージ調査とは何か
企業イメージとブランドの関係
企業イメージとは、生活者がある企業に対して抱く印象やイメージの総体を指します。商品や広告だけではなく、社会活動、企業姿勢、メディア露出、口コミなど、多様な情報源によって形成されます。
ブランドが市場において恒常的に発揮する価値だとすれば、企業イメージはその根幹を支える基盤のような存在です。ブランドの方向性がいかに優れていても、生活者の企業イメージと齟齬があれば、その価値は十分に発揮されません。
だからこそ、企業イメージ調査はブランド戦略の起点として重要になります。
企業イメージ調査で把握できること
企業イメージ調査を行うことで、生活者の意識レベルから以下のような情報を可視化できます。
現在どのような印象が強く結びついているのか、どの層から支持を得ているのか、あるいは逆に距離を感じさせているのはどの層なのか。さらに競合企業と比較した際のポジションの差異や強弱も明確に浮かび上がります。
マーケティング部門や広報部門が次の一手を考える際、これらの情報は必要不可欠です。
企業イメージ調査に含まれる主な質問項目
質問項目は調査の質を左右する重要な要素です。
認知、イメージ、信頼性、価値観の整合性など、多角的な視点を組み合わせることで、生活者の印象を立体的に把握できます。
たとえば、「革新的」「信頼できる」「グローバル」「親しみやすい」などの形容語を提示し、該当度合いを回答してもらう形式が一般的です。項目設計で重要なのは、企業が伝えたい価値だけでなく、生活者が実際に感じている価値を捉える言葉を配置することです。
企業イメージ調査が必要とされる理由
ブランドの強み・弱みを可視化する
企業が自ら認識しているブランド価値と生活者が感じている価値は、一致しない場合も多くあります。
企業イメージ調査は、このギャップを明らかにし、強化すべきポイントや改善すべき課題を冷静に提示します。強みが曖昧なままの戦略は説得力を欠きますが、実際に支持されている価値が把握できれば、ブランドの核となる方向性を見出すことができます。
競合比較で市場ポジションを明確化する
どれだけ魅力的な企業であっても、競合相対でどの位置に立っているかがわからなければ戦略の精度は上がりません。企業イメージ調査では、生活者視点で見た競合比較が可能であり、ポジションマップを描くことで自社の立ち位置を立体的に把握できます。
競争優位性の確認はもちろん、今後狙うべきポジションの検討材料にもなるため、戦略策定の基礎として必須のプロセスと言えます。
広告・PR施策の効果測定に活かす
広告やキャンペーンの成果は、単純な認知率やクリック率だけでは測りきれません。生活者の企業イメージが実際に変化したかどうかを把握することで、コミュニケーション施策の本質的な成果が可視化されます。
実施前後で比較することで、ブランドのどの価値が向上し、どの価値が伸びていないのかを明確にし、次に打つべき施策の精度を高められます。
企業イメージ調査の手法
インターネットリサーチ(オンラインアンケート)
最も一般的な手法で、短期間で大量のサンプルを収集できる点が特徴です。
企業イメージを定量的に把握するのに適しており、純粋想起・助成想起・イメージ評価などの代表的な項目を網羅できます。比較調査や定点調査にも向いています。
グループインタビュー
複数の対象者を集め、企業イメージに対する認識・背景・理由を深掘りする手法です。
「なぜその印象を持ったのか」「どの情報接点が影響しているのか」といった文脈を理解できるため、定量調査前の項目設計にも有効です。
デスクリサーチ(既存データ・文献調査)
公的統計、業界レポート、新聞・専門誌記事、過去の調査結果など、すでに存在するデータを収集・分析する手法です。企業イメージ調査を実施する前に、業界動向や世論、メディア露出の傾向を把握することで、調査項目の精度を高められます。また、追加調査を行わなくても得られる示唆が多く、初期の仮説立てや補完情報として非常に重要な役割を果たします。
企業イメージ調査の進め方
目的設定(ブランド課題の特定)
企業イメージ調査は、ただ実施すれば良いものではありません。
目的設定が曖昧な状態で調査を始めると、得られたデータの解釈が難しく、行動に結びつかない結果になってしまいます。
まず「ブランドのどの価値を把握したいのか」「どの層を対象とすべきか」「競合との比較を行うべきか」を整理することが重要です。目的が明確になれば、質問項目の精度も高まります。
調査方法の選択(アンケート/定性調査)
企業イメージ調査ではアンケート形式が一般的ですが、その前後に定性調査を組み合わせることで深い洞察が得られます。
アンケートは量的に評価を得るのに適しており、グループインタビューやデプスインタビューは、生活者が企業に対して抱く背景や理由を引き出すのに効果的です。両者を組み合わせることで、定量の「広さ」と定性の「深さ」を両立させられます。
質問項目の設計プロセス
質問項目を設計する際に最も重要なのは、企業の意図を押しつけないことです。イメージが良い方向に誘導するような質問では、調査としての信頼性が損なわれてしまいます。生活者がフラットに評価できる言葉選びが求められます。
また、イメージ項目は複数の尺度を混在させず、「信頼性」「サービス品質」「革新性」などテーマを整理することで、分析の軸が整い、結果の解釈もしやすくなります。
調査会社へ依頼する場合のポイント
自社で調査を設計することも可能ですが、イメージ調査は質問項目の精度が結果を大きく左右するため、専門会社へ依頼するケースが多く見られます。
調査会社を選ぶ際は、単なるデータ収集だけでなく、分析から戦略活用までサポートできるかどうかを確認することが大切です。特にブランド調査に特化したノウハウやパネルの品質は、結果の信頼性に直結します。
企業イメージ調査で使われる主な質問項目
認知度を測る項目
認知の有無は企業イメージを考えるうえで最も基本的な指標です。
純粋認知、助成認知、企業ロゴ認知など、多角的に捉えることで、ブランドが生活者にどの程度浸透しているかがわかります。認知の広さはブランド戦略の“入口”になるため、必ず設問に含めるべき項目です。
企業イメージ・ブランドイメージを測る項目
企業イメージ調査の中心となる項目です。
「革新的」「誠実」「安心感がある」「環境に配慮している」など、企業が目指す価値と生活者が感じる価値の両面を捉える項目が求められます。項目数が多すぎると回答者の負担になるため、ブランドの核に関わる指標を慎重に選ぶことが重要です。
信頼性、品質、社会性などの評価項目
企業の信頼性や品質面の評価は、ブランドへの好意形成に直結します。社会的責任やサステナビリティ、環境配慮などを問う項目も増えており、企業価値を総合的に評価するための設問として欠かせません。
自由回答で深掘りする際のポイント
自由回答は量的には扱いにくいものの、生活者の率直な声を拾えるため非常に有用です。ただし、質問が広すぎると回答がばらつき、分析が難しくなります。
企業への印象理由を聞く場合は、「そのように感じた理由を教えてください」など、評価項目に連動させた聞き方が効果的です。
調査結果をブランド戦略に活かす方法
ブランド価値を強化する方向性の抽出
企業イメージ調査の結果は、ブランドの強化ポイントを見極めるための指針となります。
好意・信頼・革新性など、どの価値が現状評価されているかを可視化することで、ブランド価値を伸ばすための方向性が見えてきます。また、期待と実際のズレが大きい項目は改善の優先順位が高くなり、戦略の軸づくりに役立ちます。
広告・PRコミュニケーションへの反映
調査結果は広告やPRのメッセージ開発にも活かせます。
生活者が企業に対して抱くポジティブな要素を強化し、ネガティブな要素を改善する方向でコミュニケーションを設計することで、施策全体に統一感が生まれます。
特にテレビCMやデジタル広告は「印象の形成」に寄与するため、企業イメージ調査の知見が大きな価値を発揮します。
定期実施とモニタリングでブランド改善を加速する
企業イメージは短期間で急激に変わるものではありません。そのため、単発で調査を行うだけでは、正確な傾向を捉えにくいことがあります。
定点観測として定期的に実施することで、ブランド改善の取り組みがどれだけ効果を発揮しているのかを継続的に確認できます。中長期的なブランド戦略において、モニタリングは欠かせないプロセスです。
企業イメージ調査を成功させるポイント
ターゲットを正しく設定する
企業イメージ調査の精度を大きく左右するのがターゲットの設定です。購買層、潜在層、年代別など、どの層の意識を把握したいかで調査結果は大きく変わります。
ターゲットが曖昧なまま実施してしまうと、戦略に活かしにくいデータが集まってしまうため注意が必要です。
質問項目で「誘導質問」を避ける
企業にとって好ましい方向へ回答を誘導するような質問は、調査の信頼性を損ないます。
中立的でフラットな表現で項目を設計することが、正しく生活者のイメージを捉える前提となります。
定点調査で変化を追う
企業イメージは時間とともに変化するため、継続的な観測が不可欠です。単発の数値だけでは、「改善すべきなのか/維持すべきなのか」の判断が難しくなります。長期的な視点でトレンドを見ることで、ブランドの進むべき方向性も鮮明になります。
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定性調査と定量調査を掛け合わせることで、生活者の印象理由まで深掘りし、ブランド価値の核となるインサイトを導きます。数字だけでは見えない“背景”を理解することで、より強固なブランド戦略を構築できます。
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