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マーケティングリサーチコラム

マーケティングリサーチの電通マクロミルインサイト TOP マーケティングリサーチコラム インドOTT市場入門(1)言語から見るインド生活者のリアル~グローバルリサーチャーが見た変化 Vol.14~

インドOTT市場入門(1)言語から見るインド生活者のリアル~グローバルリサーチャーが見た変化 Vol.14~

現地でのトレンドや消費者のリアルについて、グローバルリサーチ(海外調査)を担当するグローバルリサーチャーによるトレンドレポート第14弾のテーマは、インドのOTT市場。

過去のグローバルリサーチャーコラム記事はこちらからご覧いただけます。

大国インド市場理解の出発点としての「言語」

2025年7月にドバイにおける南インド映画のコラムを配信した。

人口の60%がいずれかのインド公用語を話すドバイにおいて、様々な言語対応したサービス提供は必須条件と言える。

2036年夏季オリンピック候補地として名乗りを上げ、中国を抜き人口14億人を有する大国インド。がぜん注目度があがる本国インド国内でのOTT(Over The Top)サービス※1の現状とマーケット特徴について、2回にわたり簡易自主調査の結果も踏まえ配信していきたい。

※1:OTT (Over The Top) はインターネット回線を通じてコンテンツを配信するストリーミングサービスのこと

まず、前編は現状理解ということで、インドで実際に使用されている言語についてまとめていきたい。

インドは“超”多言語国家

公用語はヒンディ語。英語は準公用語と位置付けられている。450以上の言語が存在し、そのうち母語話者が1万人以上いる言語だけでも121あり、さらに21言語が憲法で認められた公用語として位置づけられている。
州ごとに公用語を定めることができ、北部ではヒンディー語は多く用いられ、南部では非ヒンディー語が用いられることが多い(タミル語、カンナダ語など)。

日常に根づく多言語環境─教育と生活の中の言語使い分け

では、日常使うお札などはどうなっているのか。
ルピー札を例にとると表面に英語とヒンディ語。裏面には他15言語が記載されている。 

▼ルピー札表面:英語とヒンディ語が記載されている


▼ルピー札裏面:様々な言語が記載されている

またインドでは「三言語政策」と呼ばれる教育方針が採用されていて、この政策では学生は以下の3つの言語を学ぶことが推奨されている。※2

1.地域の言語または母語
2.ヒンディー語(ヒンディー語圏では別の現代インド語)
3.英語または他の現代インド語
※2 出典:https://india-marketing.jp/business/language

トリリンガルが推奨され、多くの人がマルチリンガルであるというのだからすごい。

2025年9月に実施した自主調査の結果からも、約40%が3言語以上日常生活使用可能と回答している。複数言語を使い分ける生活が浸透しているといえる。

2言語のみ使用可と回答した人のほとんどは英語とヒンディ語の組み合わせ話者で、推奨されている言語をカバーできている。また、ヒンディ語が公用語とされる地域居住者なので現状の習得言語数で日常生活に事欠かないのだろう。

調査実施:2025年9月
調査対象者:インド在住20歳以上男女
N=281
調査協力:Dynata

2011年センサスの結果によると、ヒンディ語が母語の人の割合は46%。
政策のおかげもあってか、ヒンディ語話者の割合は57%に上る。

▼インドにおける第一言語・第二言語・第三言語話者割合(2011年センサスより)

First language speakersSecond languageThird languageTotal speakers
LanguageFigure[14]% of total
population
speakersspeakersFigure% of total
population
Hindi528,347,19343.63%138,909,60824,307,234691,564,03557.11%
Bengali97,237,6698.03%9,095,8101,138,764107,472,2438.88%
Marathi83,026,6806.86%13,001,0793,031,02799,058,7868.18%
Telugu81,127,7406.70%12,167,6091,206,25494,501,6037.80%
Tamil69,026,8815.70%6,668,000900,98576,595,8666.33%
Gujarati55,492,5544.58%4,017,825778,93060,289,3094.98%
Urdu[note 3]50,772,6314.19%11,348,9781,117,83663,239,4455.22%
Kannada43,706,5123.61%13,609,7091,434,57858,750,7994.85%
Odia37,521,3243.10%4,670,796397,21342,589,3333.52%
Malayalam34,838,8192.88%581,591218,93235,639,3422.94%

※出典:https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_languages_by_number_of_native_speakers_in_India

過去30年(1991~2011年)のセンサス結果を比較すると、ヒンディ母語者の割合が増加していることも特徴と言える。ヒンディ語以外は、人口に対しての割合に大きな差はない。

RankLanguage1991 census of
India(total: 838,583,988)
2001 census of India
(total: 1,028,610,328)
2011 Census of India
(total: 1,210,854,977)
Encarta 2007 estimate
Worldwide total
SpeakersPercentageSpeakersPercentageSpeakersPercentageSpeakers
1Hindi329,518,08739.29%422,048,64241.10%528,347,19343.63%366 million
2Bengali69,595,7388.30%83,193,3118.09%97,237,6698.03%207 million
3Marathi62,481,6817.45%71,936,8946.99%83,026,6806.86%68.0 million
4Telugu66,017,6157.87%74,002,8567.19%81,127,7406.70%69.7 million
5Tamil53,006,3686.32%60,793,8145.91%69,026,8815.70%66.0 million
6Gujarati40,673,8144.85%46,091,6174.48%55,492,5544.58%46.1 million
7Urdu[note 3]43,406,9325.18%51,536,1115.01%50,772,6314.19%60.3 million
8Kannada32,753,6763.91%37,924,0113.69%43,706,5123.61%35.3 million
9Odia28,061,3133.35%33,017,4463.21%37,521,3243.10%32.3 million
10Malayalam30,377,1763.62%33,066,3923.21%34,838,8192.88%35.7 million

英語は少数派?言語がOTT利用のハードルになる現実

では、準公用語の英語話者の割合はどうだろう。

インド国内の英語話者は約10~15%ほど。国内には約1.4億人の英語話者がおり、アメリカに次いで2位の英語話者数になる。

出典: https://www.shapernet.in/2021/03/india-holds-largest-english-speaking.html#:~:text=Header%20Background,than%20four%20years%20of%20schooling.

また都心部、地方や社会階層での英語話者数にも偏りがあるのも、インドの特徴といえる。

いつも一緒に仕事をしている調査会社のメンバーは、当然英語話者なので正直この10~15%という数字に驚きを隠せない。

弊社の自主調査内で今までに言語が理由で、OTTサービス利用を諦めたことがあるか」との質問に対し、約80%が経験ありと回答している。

調査実施:2025年9月
調査対象者:インド在住20歳以上男女
N=281
調査協力:Dynata

ヒンディ語話者が全体の約60%で、英語話者は10~15%程度。
日本製品・作品のインドでの展開を考えた場合、英語のみでは製品・サービスを利用できるのは限定的な層のみとなってしまう可能性が高い。この点が人口10億人を有する巨大マーケット中国との大きな差である。

さまざまな言語が使用されている中でも、まずヒンディ語を追加することでグッとインド消費者の日本製品・サービスに対するハードルが下がるはずだ。

 

電通マクロミルインサイトでは、インドでの調査実績も多数あり、調査対象品、調査ターゲット層に応じて適切な実施言語や手法を提案し調査いたします。

海外での調査をお考えなら、電通マクロミルインサイトにご相談ください。

 

 

執筆者|永田及子
2014年電通マクロミルインサイト入社。入社以来、国際調査一筋。多数のオフライン調査に従事し、特に中東地域の案件を多く担当。サウジアラビア、オマーン、バングラデシュなど新興国出張経験も豊富。

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