現地でのトレンドや消費者のリアルについて、グローバルリサーチ(海外調査)を担当するグローバルリサーチャーによる出張レポート第4弾は、ロサンゼルス。
大谷フィーバーだけではない、電動化が進む現地の交通事情についてお伝えします。
目次
ロサンゼルスのドックレスシェアサイクル、シェアスクーター事情
10月中旬~下旬にかけて、ロサンゼルスへの出張でした。
出張時のロサンゼルスは、ワールドシリーズ一色!日本人だとわかるとOOTANI~!!とフレンドリーに話しかけられ、現地の調査員にも土日はドジャーズ見に行くの?と聞かれるも、もちろんチケットなど手に入ることもなく・・・。
ドジャーズのシャツを着て沸き立つ人々を後目に大谷情報ではなく、電動化、自動化が進むロサンゼルスの様子を12月、1月の2回に分けてお届けします♪
12月にお届けするPart1はドックレスシェアスクーターと、デリバリーロボについてです。
ロサンゼルスの電動スクーターは自由に乗り捨てOK
以前よりロサンゼルスでは乗り物の電動化が進んでいましたが、今回宿泊したハリウッド周辺では電動スクーターとデリバリーロボを多く目にしました。
各国で定着しつつある、シェアサイクル、シェアスクーター。ロサンゼルスらしく?あちこちに無造作に置かれています。
ロサンゼルスでは、Lyft, Lime, Razor、BIRDといくつものシェアスクーターがあるようですが、滞在中に良く目にしたのが、LimeとBIRD。BIRDが2018年に最初に展開し始め、徐々に増えてきたとのこと。Limeは日本でも展開されているので、馴染みがある人もいるかもしれません。
参照:https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1621707.html
▼無造作に放置されている電動スクーター
サイズも大きい!!
ロサンゼルスでは近年ドックレス化(充電ステーションがない)が進んでいるそうで、スクーターが至る所で見られる一方、充電ステーション/ドックはほとんど目にしませんでした。
アプリで近くのスクーターを探して好きなところへ移動してそのまま乗り捨て、という形がすっかり定着している様子。
システムの運用コストや利便性を考えると良い反面、適当な駐車や盗難は問題にはならないのかな??と思うのですが、道が広いので乗り捨ては問題なし、収益を考えれば多少の盗難、荒らしは想定済みなのかもしれません。
▼住民の日常使い
▼どこからでも自由に乗って、どこでも乗り捨て
また、不思議なことに今回の出張ではシェアサイクルはほとんど見られませんでした。ネット情報によるとどこかにあるはずなんだけど・・・と思いつつ、現地の人に「シェアサイクルはないの?」と聞くと、どこかにはあると思うけれど、郊外ではあまり見ない、とのこと。
その理由として、
① 電動自転車の方がメンテナンスが大変だったり壊されるリスクが高いから
② 短距離の移動にはスクーターの方が便利
ということのようです。
そう言われて、ロサンゼルスのシェアサイクルで有名なメトロのホームページを見るとシェアサイクルは存在しているものの確かにダウンタウンエリアに集中しているようです。
▼シェアサイクルのStation Map
参照:https://bikeshare.metro.net/stations/
ちなみにロサンゼルスでは電動自転車は良く乗られているそうで(個人で所有)、郊外の住宅地では子どもたちが電動自転車に乗って良く走っているとのこと。
アメリカは車社会なので、まだ車に乗れない子どもの便利な移動手段になっているようです。
放置された電動スクーターの充電方法は?
ところでステーションがない場合、充電はどうするの?と思いませんか。
私も不思議でちょっと調べてみました。
Limeのような企業は社内チームやギグエコノミー(時間の融通が利くフリーランスやパートタイム労働者などの単発もしくは短期の仕事を請け負う働き方を指す)の人たちを雇い、充電が必要なスクーターを回収して充電をすることで回しているとのこと。まさかの人海戦術のようです!
Limeの場合、チャージする人たちをLime Juicer と呼び、Juicerたちが街を旋回してスクーターを拾いチャージしてまた街に置くようです。
ちょっとしたお小遣い稼ぎにもなるようで、Youtubeでも紹介されていますので気になる方は見てみてください。
参照:https://www.li.me/blog/lime-juicer-reserve-feature-changing-game-scooter-chargers
ただ、ヨーロッパでは至るところに無造作に置かれるスクーターに対して“街の景観を損なう”、“危険”、などの理由からNOの声も上がりフランス パリでは住民投票が実施され2023年9月以降禁止になった様子。
ロサンゼルスでも住民や利用者で何度も揉めており住民側は廃止を、利用者側は存続を、で双方の署名運動など紆余曲折があったようです。現在は住民側も諦めているのか、住民側もその便利さの恩恵を受けすっかり定着しているのか、今後の動きが気になります。
ちなみに、この電動シェアスクーター、ロサンゼルスで乗るのには免許証(日本のものでも可とのこと)が必要で、原則歩道は禁止です(歩道走っていましたが・・・・)。
参照:https://forbesjapan.com/articles/detail/66493
自動宅配サービスロボットも街中に浸透中
さらに今回目にしたのはUber Eatsが導入した自動宅配サービスです。
ひとつひとつに名前がついており、商品を運ぶとのこと。
日本でも日本橋地域で試験的に導入をはじめているとの話ですが、ハリウッド近辺ではすでに市民権を得ているようでした。
お世辞にも治安がとっても良いというわけではないロサンゼルスで大丈夫なのだろうか?と少し不安になるところですが、GPSで監視されており勝手に開けようとしたり盗もうとすると爆音で周囲に知らせるそう。
なお、調べてみたところレベル4(限られた条件での自動運転)で運用されるものの、事故や事件などに備えて人間のスーパーバイザーが常時モニタリングを行っているとのこと。
まだあちこちで見る、というわけではないですが、ダウンタウンや整備されたエリアではちょこちょこみることができました。ひとつひとつに名前がついておりなんとなく愛嬌も。すっかり街に溶け込んでいるようです。
▼ひとつひとつに名前がついている(写真の子は“Isaiah“さん)
ちなみに以前ランチのデリバリーをお願いしたときに、置き配をお願いした商品が誰かに盗られてしまうことがあったので、ロボットでも人間でも盗られるときは盗られる!であまり関係ない、、?
そういったリスクも全部織り込み済みで、むしろ襲撃されてもロボットなので安全!なのかもしれません・・・。
▼日本、日本橋にてUber Eatsが2024年3月から試験運用を始めたデリバリーロボ
参照:
https://japan.cnet.com/article/35216151/
https://youtu.be/v5oxF3IJ7DE?si=hYuJFxQMC5oS7nSn
https://wonderfulengineering.com/food-delivery-robots-are-taking-over-the-streets-of-la-and-so-is-vandalism-and-theft/
おまけ:衛星放送と現地のタイムラグ
夜に日本と会話をしながら、ホテルのテレビでワールドシリーズを見ていたところ、日本の衛星放送の方がロスの現地中継より早く届くことが判明。
現地にいるのに、試合の結果を日本の通信アプリを介して知ることになりました(笑)
日本:「やった!フリーマン逆転サヨナラ満塁ホームラン!!!!」
ロサンゼルス:「え、まだバッターボックスに立ったところなんだけど・・・・泣」
衛星放送のすばらしさを感じたロサンゼルスの夜でした。
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