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マーケティングリサーチコラム

マーケティングリサーチの電通マクロミルインサイト TOP マーケティングリサーチコラム 韓国シェアリングエコノミーの今~グローバルリサーチャーが見た変化 Vol.1~

韓国シェアリングエコノミーの今~グローバルリサーチャーが見た変化 Vol.1~

電通マクロミルインサイトでは、先進国から新興国まで、グローバルビジネスの成功を多面的に支援する海外調査も多く実施しています。
2020年からコロナの影響で海外での調査はオンラインが主流となっていましたが、2024年より弊社のグローバルリサーチャーの海外出張も復活してきています。

そこで今後数回にわたり、現地でのトレンドや消費者のリアルについて、グローバルリサーチャーの出張記をお届けします。

第一回目は、韓国のシェアリングサービス事情についてです。

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まさか3年にも及ぶとは思わなかった長い東京トランジットを経て、2024年にはいり本格的に海外出張が戻ってきた。当社ではアジア圏での案件よりも、北米案件での出張回数が多くなっている。
現地に赴いた際に感じたコロナにより大きく変化したライフスタイル、消費者の意識をリサーチャー目線で数回にわたり配信していきたい。

記念すべき1回目は韓国。7月下旬に実に15年振りに韓国の地(ソウルとプサン)を訪れた。出張帰国日がちょうど誕生日で、疲れすぎたタクシーのなかでふとスマホをみるともう日を跨いでおり、バタバタとしたまま誕生日が過ぎていった。
「そういえばコロナ前こんな感じだったよな」と、コロナ禍が過ぎ2020年以前の生活に戻ってきたんだなと色々な意味で実感する瞬間だった。

ソウルの街はどこか懐かしさもあるが、プサンの街並みは大きく変化していた。一番はじめ韓国を訪問したときは、ちょうど第1次韓流ブームと言われるとき。現在は第4次韓流ブームにはいるらしく、それだけ長い時間が流れ、街並みの変化やすっかり抜けにくくなった出張の疲れも必然なのかもしれない。

以前の訪問時にはみなかったサービスで、今回の訪問で日本と同じようで少し違うなと思ったものに「レンタル・サービス」がある。

ソウル市は交通渋滞の緩和や環境保全、市民の健康促進などを目的に、따릉이(タンルイ) [1]という自転車レンタル・サービスを2015年に開始した。その後2022年時点で会員数は約330万人、ソウル市民の3人に1人が利用するまでに成長・成功している。自治体が運営しているサービスだが、外国旅行者でも利用ができる。レンタル料金の基準は時間制。タルンイの会員か非会員か、外国人利用者かにより購入できる利用券の種類が異なる。旅行者向けの料金をみてみると、1時間で100円程度と非常に利用しやすい価格設定だ。
利用方法は日本のレンタル・サービスと同じで公式アプリやウェブから手続きをする。ステーションも日本と同様、駅、バス停などの近くにある。ステーションの数も多く、街のいたるところでみかけた。自転車だけでなくキックボートのレンタル・サービスも人気らしく、多くの会社が参入している。

▼江南にあるステーションのひとつ。写真:筆者撮影

 ここまでは「えっ、日本と同じじゃん」と思う方も多いと思うが、何が違うって返却方法がダイナミック。ステーションに返却する人もいるが、このように思い思いの場所に返却する人も多い。ステーションに空きがなかったり、ステーションに返却しなくてもGPSで結局場所が分かるんだからどこに置いても同じと考える人もいるようだ。
個人的にはこのゆるさが、たまらなく好きである。日本では、ステーション以外に返却(置いておく)なんて光景はまずみないが、きっと日本のその光景の方が珍しいのかもしれない。

言わずと知れたソウルは坂の街。キックボードや電動自転車があれば、どんなに楽だろうと思う時も多く、冬の時期は雪で利用が難しくなるので季節を楽しむためにもにぜひ利用してみたいと思わせる。

 

▼江南にて。写真:筆者撮影

▼ポツンとおかれたレンタル・自転車。サドル下には広告が入っている。

 

日本でも2023年7月の改正道路交通法の施行により、日本の免許証を所有していない外国人旅行者も電動キックボードに乗ることができるようになり、東京でも訪日客思しき方たちがキックボードに乗っている姿をよく見かけるようになった。
電動キックボードなどのシェアリングサービスを手掛けるLuup社(本社:東京都千代田区、岡井大輝社長)は、都市部だけなく地方都市での事業展開に意欲的だ。[2]

「モノ消費」から「コト消費」へと、インバウンド客のニーズが多様化していく中で、リピート訪日客の多くは大都市圏ではなく、地方に目を向ける。
標識や看板など日本語を理解できない外国人旅行客にとって、スマホで自分の理解できる言葉で目的地までナビゲーションしてくれるのは非常に心強い。

政府は2030年までに訪日外国人旅行者数を6000万人まで増加させる目標を掲げ、今後インバウンド需要を通じて地域経済の活性化を図るとしている。このようなDXサービスの充実が、脱一極集中のインバウンド・ビジネスに一役買うことは間違いない。今後が楽しみである。

[1] https://www.bikeseoul.com/

[2]https://luup.sc/news/2024-06-20-luup-for-community/

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執筆者|永田及子
2014年電通マクロミル入社。入社以来、国際調査一筋。多数のオフライン調査に従事し、特に中東地域の案件を多く担当。サウジアラビア、オマーン、バングラデシュなど新興国出張経験も豊富。

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