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マーケティングリサーチコラム

マーケティングリサーチの電通マクロミルインサイト TOP マーケティングリサーチコラム パーパスとは?MVVとの違いや注目される理由・企業の成功事例を解説

パーパスとは?MVVとの違いや注目される理由・企業の成功事例を解説

2026.02.13
マーケティングリサーチ

近年、ビジネスシーンで頻繁に耳にするようになった「パーパス(Purpose)」という言葉。「自社にはすでにミッションやビジョンがあるけれど、何が違うのだろうか」「流行りに乗って策定すべきなのだろうか」と疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、パーパスの本来の意味やミッション・ビジョンとの決定的な違い、そしてなぜ今多くの企業が重要視しているのかを解説します。

パーパスとは何か?

ビジネスにおけるパーパスを一言で表すと、それは「企業の社会的な存在意義」です。単に「目的」や「意図」と直訳するだけでは捉えきれない、より深い意味合いが含まれています。ここでは、その本質について詳しく見ていきます。

社会における存在意義

パーパスは「自社は何のために社会に存在するのか」という問いに対する答えです。利益を上げることや事業を拡大することは、企業活動の結果であって目的そのものではありません。その企業がなくなったら社会は何を失うのか、社会に対してどのような貢献をするために存在しているのかを言語化したものがパーパスです。

従来の企業理念が「自社がどうなりたいか」という内向きな視点を含んでいたのに対し、パーパスは「社会にとってどうあるべきか」という公益的な視点を強く持っています。そのため、サステナビリティ(持続可能性)やSDGsといった概念とも非常に親和性が高い概念として位置づけられています。

Why」への回答

組織の活動において、パーパスは常に「Why(なぜやるのか)」という根源的な問いに答える役割を果たします。「What(何をするか)」や「How(どうやるか)」の手前にある、すべての活動の動機となるものです。

例えば、高品質な製品を作ることは「What」であり、効率的な生産ラインを敷くことは「How」です。しかし、パーパスは「なぜその製品を世に送り出す必要があるのか」を語ります。この「Why」が明確であることで、従業員は日々の業務に意味を見出し、顧客はその企業の姿勢に共感して製品を選ぶようになります。つまり、パーパスは企業の求心力の核となるものなのです。

ミッション・ビジョン・バリューとの違いは?

多くの企業にはすでに「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)」が存在します。これらとパーパスはどう使い分ければよいのでしょうか。実は、それぞれの言葉が指し示す「時間軸」や「視点」に明確な違いがあります。

起点の異なる視点

MVVとパーパスの最大の違いは、その視点が「自社起点」か「社会起点」かという点にあります。以下の表でそれぞれの役割と視点の違いを整理しました。

用語

意味

視点

時間軸

問いの形

パーパス

存在意義

社会起点(外向き)

普遍的・現在進行系

Why(なぜ存在するのか)

ミッション

果たすべき使命

自社起点(内向き)

現在〜未来

What(何を成し遂げるか)

ビジョン

実現したい未来像

自社起点(内向き)

未来

Where(どこを目指すか)

バリュー

行動指針・価値観

自社起点(内向き)

現在

How(どう行動するか)

ウェイ

独自の流儀

自社起点(内向き)

現在

How(どうあるべきか)

ミッションは「会社としてこれを達成する」という使命感であり、ビジョンは「将来こうなっていたい」という理想像です。これらは主語が「私たち(自社)」になりがちです。一方でパーパスは、主語が「社会」や「私たちと社会の関係性」に置かれます。ミッションやビジョンを再定義する上位概念としてパーパスを置く企業も増えていますが、これらは対立するものではなく、補完し合う関係にあるといえます。

社会とのつながり

パーパスは、MVVよりも強く「社会課題の解決」と結びついています。これまでのミッションやビジョンが、市場シェアの拡大や売上目標といった自社の成長に重きを置くことが多かったのに対し、パーパスは「その成長が社会をどう良くするのか」までを包含します。

現代の消費者は、単に良い商品というだけでは満足せず、その背景にある企業の倫理観や社会貢献度を厳しく見ています。MVVだけではカバーしきれない「社会とのつながり」を明文化し、ステークホルダー(株主、顧客、従業員、地域社会)全員に対する約束として機能するのがパーパスなのです。

なぜ今パーパス経営が注目されるのか?

ここ数年で急速に「パーパス経営」という言葉が広まった背景には、社会環境や人々の意識の大きな変化があります。一過性のブームではなく、経営の必須要件となりつつある理由を3つの側面から解説します。

価値観の変化への対応

一つ目の理由は、消費者の意識変容です。特にミレニアル世代やZ世代と呼ばれる若い世代を中心に、「エシカル消費(倫理的な消費)」や「意味のある消費」を志向する傾向が強まっています。彼らは商品やサービスの機能的価値だけでなく、「その企業が環境に配慮しているか」「社会課題に取り組んでいるか」といった情緒的・社会的価値を重視します。

また、働く人々の意識も変化しています。「給料が良い」「会社が安定している」という理由だけでは、優秀な人材を惹きつけ、留め置くことが難しくなりました。「自分の仕事が社会の役に立っている」という実感や、企業の目指す方向性への共感が、働くモチベーションの源泉となっています。こうした価値観の変化に応えるために、企業は明確なパーパスを示す必要に迫られています。

投資判断基準の変化

二つ目の理由は、金融市場におけるESG投資の拡大です。環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に配慮した企業へ投資する動きが世界的に加速しています。投資家たちは、短期的な利益だけでなく、中長期的に社会課題を解決し、持続的に成長できる企業かどうかを厳しく評価しています。

世界最大の資産運用会社であるブラックロックのCEO、ラリー・フィンク氏が、投資先企業のCEO宛てた年次書簡で「パーパスの重要性」を強調したことは有名な話です。パーパスを持ち、それを実践していることが、資金調達や株価の安定においても重要なファクターとなっています。つまり、パーパスは綺麗事ではなく、実利に直結する経営戦略の一部なのです。

VUCA時代の指針

三つ目の理由は、先行きの見えない時代の羅針盤としての役割です。現代はVUCA(ブーカ)の時代と呼ばれ、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)が高まっています。技術革新やパンデミック、地政学リスクなどにより、中期経営計画などの固定的な目標がすぐに陳腐化してしまうことも珍しくありません。

そのような変化の激しい環境下でも、ブレない軸となるのがパーパスです。「何をするか(戦略)」は状況に応じて柔軟に変える必要がありますが、「なぜ存在するか(パーパス)」は簡単に変わりません。確固たるパーパスがあれば、予期せぬ事態に直面しても、立ち返るべき原点として機能し、組織がバラバラになるのを防ぐことができます。

パーパスを策定するメリットは?

パーパスを策定し、それを経営の中心に据えることには、組織内外に多大なメリットをもたらします。ここでは代表的な3つの効果について詳しく解説します。

従業員エンゲージメント向上

最も直接的な効果は、従業員のエンゲージメント(貢献意欲)の向上です。自分の業務が単なる「作業」ではなく、「社会を良くするための一翼を担っている」と実感できれば、仕事に対する誇りややりがいが生まれます。

パーパスに共感して働いている社員は、自律的に考え、行動するようになります。上からの指示を待つのではなく、「このパーパスを実現するためには、今何をすべきか」という判断基準を個々人が持てるようになるからです。結果として、離職率の低下や生産性の向上、さらにはイノベーションの創出といった組織力の強化につながります。

ステークホルダーからの支持

明確なパーパスは、顧客やファンからの強い支持を生み出します。機能や価格での差別化が難しくなった現代において、「誰から買うか」「どのブランドを応援するか」という選択基準は、その企業の思想や姿勢に依存します。パーパスを通じて企業の姿勢に共感した顧客は、長期的なロイヤルカスタマーとなり、ブランドの代弁者となってくれることもあります。

また、取引先や地域社会との関係構築においても有効です。「共にこの社会課題を解決しましょう」という旗印があれば、共創パートナーが見つかりやすくなり、オープンイノベーションが加速するきっかけにもなります。

迅速な意思決定の実現

経営判断のスピードアップも大きなメリットです。ビジネスでは日々、A案かB案かという選択を迫られます。その際、判断基準が「短期的な利益」だけだと迷いが生じたり、部署間で対立が起きたりすることがあります。

しかし、パーパスという最上位の判断基準があれば、「どちらが我々の存在意義に叶うか」という視点でシンプルに決断を下すことができます。迷ったときに立ち返る場所が明確であることは、組織全体の意思決定コストを下げ、スピード感のある事業運営を可能にします。

パーパスを策定する際の手順は?

最後に、実際に自社でパーパスを策定するための大まかなステップを紹介します。かっこいい言葉を並べるだけでは意味がありません。

自社の歴史と強みの分析

まずは、自社のルーツを掘り下げることから始めます。「創業者はなぜこの会社を作ったのか」「これまで顧客から感謝された最大の価値は何か」「自社がこだわってきた独自の強み(Will / Can)」を徹底的に洗い出します。

これと同時に、社会が求めていること(Must)を分析します。「今の社会にはどんな課題があるか」「自社のアセットを使えば解決できる社会課題は何か」を考えます。パーパスは、この「自社ができること・やりたいこと(Will/Can)」と「社会からの要請(Must)」が重なる領域に見つかります。独りよがりでも、実現不可能な夢物語でもいけません。

言語化と共感の醸成

重なる領域が見えてきたら、それを短く、覚えやすく、かつ心に響く言葉に落とし込みます。多くの社員を巻き込み、ワークショップ形式で議論を重ねるプロセス自体が非常に重要です。一部の経営幹部だけで決めて通達しても、現場には浸透しません。

「この言葉なら自分たちの仕事を誇れる」「自分事として捉えられる」と社員が思えるまで、言葉を磨き上げてください。策定後は、社内外にあらゆるチャネルで発信し、評価制度や事業判断に組み込むことで、絵に描いた餅にせず「実装」していくフェーズが始まります。

パーパス策定のためのワークセッションなら電通マクロミルインサイトにご相談ください

当記事では、パーパスについて解説してきました。

パーパスとは、経営陣が策定するものではなく、現場の社員たちのワークセッションで議論を重ねるプロセスが非常に重要です。

電通マクロミルインサイトでは、パーパス策定のためのワークセッションも数多く実施しています。

会社の存在意義を定義するパーパス策定をお考えなら、電通マクロミルインサイトにご相談ください。

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執筆者|株式会社電通マクロミルインサイト 経営企画 マーケティングプロジェクト 編集チーム
ホームページコンテンツの企画、監修、執筆を担当。
マーケティングリサーチのセミナーや自主調査企画も実施。

 

監修|芦沢広直 株式会社電通マクロミルインサイト シニアリサーチスペシャリスト
旧:電通リサーチ(現:電通マクロミルインサイト)に入社後、マーケティングリサーチャーとしてメーカー・サービス会社・官公庁・媒体社のマーケティング戦略に関わる調査に従事。㈱マクロミルネットリサーチ総合研究所研究員を経て現職。消費者意識の変化、ニーズの発掘とブランド価値の設定、コミュニケーション戦略の検証プロジェクト実績多数。

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