掲載日:2023年8月4日
更新日:2026年2月2日
商品開発やマーケティング戦略策定において重要な考え方の一つに、商品が提供する「ベネフィット」を理解し、それを顧客に伝えることが挙げられます。
しかし、ベネフィットは単なる商品特性や機能にとどまらない深層的なものであり、消費者の心に響く「感情的な価値」や「自己表現の手段」となることもあります。
では、ベネフィットを明らかにするためには、どのような方法が有効でしょうか?
本記事では、ベネフィットの意味とその重要性を解説し、ベネフィットを明らかにするための具体的な手法を、マーケティングリサーチ会社としてご紹介します。
リサーチの手法は定量調査から定性調査まで幅広く、インターネット調査、ホームユーステスト、会場調査、グループインタビュー、デプスインタビュー、行動観察(エスノグラフィー)といったさまざまな方法を網羅しています。
マーケティングリサーチを通じて、自社商品の真のベネフィットを探求し、競合との差別化を図りながら消費者に訴求できるマーケティングを実施するための具体的なヒントになれば何よりです。
・商品やサービスの競争力を強化し、消費者に響くマーケティング知識やアイディアを検討しているスタートアップや中小企業の経営者
・マーケティング理論がビジネスの現場にどのように適用されるかを知りたい学生
・消費者心理や行動経済学に興味がある方々全般
目次
ベネフィットとは
ベネフィットは、英語で「利益」「便益」を意味します。
マーケティングにおけるベネフィットは、特に「製品やサービスが消費者に提供する利益・便益」を指します。
また、会社経営においては、福利厚生や諸手当などを意味することもあります。
メリットとの違い
ベネフィットとよく似た言葉に「メリット」があります。
メリットとは、その「商品・サービスの特徴や優位性」を強調します。
対して、ベネフィットは、メリットによりもたらされる効果や恩恵、利益のことを指します。
メリットとベネフィットの例
電通マクロミルインサイトはマーケティングリサーチの会社ですが、弊社のサービスのメリットは主に次のようなものが挙げられます。
・電通の卓越したマーケティングコミュニケーションノウハウ
・マクロミルが保有する多彩なデータとテクノロジー
・専門性の高い100名以上のリサーチャー/アナリスト
これに対し、弊社サービスが顧客に提供するベネフィットは下記になります。
・マーケティング戦略・コミュニケーション戦略立案のための質の高いデータ分析が可能
・幅広い対象者に意見を聴取したり、豊富なデータが取得できる
・調査の設計から実施、分析までの各ステップおいて、専門性の高いスタッフの手厚いサポートを受けられる
メリットは提供者である企業側の視点、
ベネフィットは顧客の視点から見たサービス利用で得られる影響や利益を指す点が異なります。
ベネフィットの種類
ベネフィット(便益)は大きく分けて3種類が存在します。
機能的ベネフィット
機能的ベネフィットとは、商品やサービスが持つ具体的な機能や品質から得られる利益を指します。
具体的には「商品やサービスの利用によって○○が出来るようになる」という形で消費者に提供できる便益を意味します。
現代の技術革新により、多くの市場において今までにない革新的な製品やサービスを生み出すのは困難です。しかし、世の中には新しいサービスが生まれ続けており、そういう新サービスにおいては、機能的便益がブランド価値の差別化要素として非常に重要です。
情緒的ベネフィット
情緒的ベネフィットとは商品やサービスの利用を通して消費者が特定の感情状態に浸れることを指します。
例えば、高級なチョコレートを購入し食べたときは、美味しさだけでなく贅沢さや特別な気分を味わうことができます。このように「○○な気分になれる」と体感できる精神的な側面での便益を指します。
モノがあふれる現代においては、単なる物品の購入としてのモノ消費から購入後の体験や感情を重視するコト消費に移っています。
「顧客体験」や「体験価値」という言葉が近年よく聞かれるようになったことも情緒的ベネフィットが今まで以上に重要度を増してきていることを示唆しています。
自己表現的ベネフィット
最後に自己表現的ベネフィットとはブランドを所有または利用することにより、「理想の自己像にになれる、近づける」という便益を指します。
消費者が自分自身で抱く自己イメージをブランドを通して表現することができる便益を指します。
例えば、ファッションアイテム、特にハイエンドなブランドの服やアクセサリーは、消費者が自己を表現する手段として使われます。
自分の価値観、感性を表現するための手段としてそのブランドを選んで身に着ける、ということが自己表現的ベネフィットの一例です。
3つのベネフィットについて
例えば、薬用石鹸の例では、3つのベネフィットは次のように具体化できます。
「機能的ベネフィット」は「手についた細菌やウィルスを効果的に殺菌・除去する」という石鹸の基本的な役割・効能を指します。
「情緒的ベネフィット」は「家族の健康を確保し、特に子供たちから感染症の心配を取り除く」ことで、心地よい安心感を提供します。
「自己表現ベネフィット」は「きちんと子供の世話をするという良い親のイメージを持ち続ける」ことを可能にします。

マーケティング施策におけるベネフィットの重要性
マーケティングにおいて、顧客が商品やサービスを通じて得られる「ベネフィット」を正しく定義することは不可欠です。ここでは、ベネフィットが施策に与える役割や重要性について解説します。
コンセプトはベネフィットの集合体
ベネフィットと似た概念に「コンセプト」という言葉があります。
コンセプトとは、コンセプトは商品やサービスが提供する価値や目的を明確にしたものです。コンセプトはその製品がどんなものか、誰を対象にするべきか、どのようにその製品が消費者の問題を解決するかなどを明確にします。
商品やサービスの開発過程においては、コンセプトが明確に設定されていると、その軸がぶれることなく一貫性を保つことができます。コンセプトは、機能的ベネフィット、情緒的ベネフィット、自己表現ベネフィット、これら3つのベネフィットを統合したものとも言えます。
ベネフィットこそが差別化のポイント
差別化とは、自社の商品やサービスが競合他社のものと、どのように違うことを明確にし、消費者に理解してもらうための戦略を指します。
市場での成功のためには、「消費者にとっての魅力(=魅力的なベネフィット)」と「競合に容易に模倣されない特長」を持つことで差別化を図ることが重要です。
差別化が不十分な場合、商品やサービスは「他のものと変わらない」と見なされ、結果的に価格競争を余儀なくされる可能性があります。
市場が成熟するにつれ、「機能」に対する消費者の要求が高まる一方で、技術力の向上により「機能」による差別化はますます困難になっていきます。
しかし、「情緒的ベネフィット」や「自己表現ベネフィット」は容易に模倣されることが難しく、差別化戦略を決定づける要素となるため、その重要性がますます高まっています。
ベネフィットを見つける方法
「FAB分析」で商品の特徴を便益に変換する
ベネフィットを整理するための代表的な手法が「FAB(ファブ)分析」です。
Feature(特徴): 商品そのものの属性(例:このPCは軽量である)
Advantage(利点): 特徴によってできること(例:持ち運びが楽になる)
Benefit(便益): 顧客の生活がどう良くなるか(例:カフェや移動中も仕事ができ、早く帰宅して家族との時間を増やせる)
このように、主語を「商品」から「顧客」へとスライドさせていくことで、訴求力の高い言葉が見つかります。
「ラダリング法」で顧客心理を深掘りする
顧客が「なぜその機能を求めているのか」を深掘りする「ラダリング法」も有効です。
例えば、「高画質なスマホカメラ」という特徴に対し、「なぜ高画質がいいのか?」→「子供を綺麗に撮りたいから」→「なぜ綺麗に撮りたいのか?」→「成長の記録を最高の形で残したいから(親としての喜び)」というように、質問を繰り返します。
これにより、スペック競争(機能的ベネフィット)から、感情に訴えるメッセージ(情緒的・自己表現的ベネフィット)へと昇華させることができます。
マーケティングリサーチで「顧客の生の声」を探る
自分たちのデスクだけで考えていると、どうしても「作り手側の都合」が入ってしまいがちです。真のベネフィットは常に顧客の中にあります。客観的なリサーチを通じて、顧客が商品を手にした時に「本当に得ている体験」を可視化しましょう。
ベネフィットを明らかにするマーケティングリサーチなら電通マクロミルインサイトにお任せください
マーケティングにおけるベネフィットの意味や重要性を解説してきました。
自社視点のメリットについて意識しがちですが、競合と差別化していくためには、ユーザーにとって何が利益となるのか、ベネフィットは何なのか、を明確にする必要があります。
消費者理解・市場や競合の分析のためにはマーケティングリサーチを有効的に活用することをお勧めします。
ベネフィットを明らかにしてマーケティングへの活用をお考えなら、電通マクロミルインサイトにご相談ください。
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