目次
第一想起とは?
第一想起とは、生活者がある商品カテゴリを思い浮かべたときに、最初に頭に浮かぶブランドを指す概念です。日常の利用体験や広告、SNS、口コミなど、さまざまな接点で得た記憶が蓄積されることで、生活者の頭の中には「カテゴリとブランドの結びつき」が自然に形成されていきます。その中でも結びつきが最も強いブランドが、無意識のうちに“真っ先に想起される存在=第一想起”となります。
この「最初に思い浮かぶ」という状態は、単にブランドを認知しているだけでは生まれません。生活者の記憶の中でカテゴリと強く関連づけられ、代表的な存在として定着しているブランドほど、第一想起として選ばれやすくなります。
マーケティングにおいて第一想起が重視されるのは、購買検討の入口にもっとも近い心理状態を捉えられるためです。生活者は商品を選ぶ際、まず頭に浮かんだ数ブランドから検討を始める傾向があり、第一想起はその“最初の候補”として実際の選択行動に大きく影響します。結果として、第一想起が高いブランドほど、市場シェアや指名買いにつながりやすくなるのです。
第一想起と関連するマーケティング用語
第一想起を正しく理解するには、周辺概念との整理が欠かせません。認知、純粋想起、助成想起、想起集合(エボークトセット)、カテゴライゼーションといった関連用語は、生活者の頭の中でブランドがどのように分類され、思い出されるのかを体系的に理解する助けになります。
認知・純粋想起・助成想起・第一想起の違い
ブランドが生活者の頭の中にどのように刻まれているかは、段階ごとに異なります。
以下の順に、記憶の深さ・結びつきの強さが高まっていきます。
助成想起:
ブランド名などの選択肢を見せられたときに「あ、これは知っている」と思い出す段階。自分から思い浮かべたわけではなく、提示によって気づくレベルの想起。
純粋想起:
選択肢がない状態でも、自分の記憶から自然にブランド名が出てくる段階。カテゴリとの結びつきがある程度強いブランドがここに入る。
第一想起:
純粋想起で最初に出てきたブランド。カテゴリともっとも強く結びついており、“真っ先に思い浮かぶ存在”として記憶のトップに位置づいている。
このように、認知 → 助成想起 → 純粋想起 → 第一想起 の順に、そのブランドが頭の中で結びつく強さが高まっていきます。
想起集合(エボークトセット)との関係
想起集合とは、生活者が購買意思決定の前に頭に浮かべる「購入候補として想起するブランド群」を指します。ここに含まれないブランドは、そもそも検討されません。
第一想起は、この想起集合の中でも最上位に位置づくブランドであり、検討の入口に立てるかどうかを支配する重要な指標です。
ブランド・カテゴライゼーションとの関連
生活者はブランドを無意識のうちに「飲料」「アパレル」「家電」などのカテゴリに分類しています。このカテゴライゼーションにより、どの競合と比較され、どの文脈で思い出されるかが規定されます。第一想起の向上には、この“どのカテゴリで代表的と認識されるか”というポジショニングが不可欠です。
第一想起がマーケティングで重要とされる理由
第一想起はブランドの存在感だけでなく、購買行動そのものに影響を与える指標です。
ここでは、第一想起がビジネス成果に直結する背景を整理します。
購買検討の入口を押さえられる
生活者は商品を選ぶ際、まず頭に浮かんだ数ブランドの中から検討を始めます。
この初期段階に入れないブランドは、たとえ認知が高くても比較テーブルに乗れません。第一想起が高いブランドは、検討のスタート地点に立てるため、選択行動に影響を与える前提条件を確保できます。
カテゴリ代表として想起されることで選択率が高まる
第一想起が高いブランドは、「このカテゴリといえばこのブランド」という代表的な位置づけを獲得しやすくなります。
代表ブランドとして認識されると、消費者は自然と安心感や信頼を抱きやすく、結果としてそのカテゴリを選ぶ際の有力候補になり続けます。この代表性が維持されることは、長期的なブランド資産(ブランドエクイティ)としても機能します。
記憶資産がブランド選択に強く働く
第一想起として定着したブランドは、生活者の記憶に強く刻まれているため、意思決定の際に考える手間を省く“近道”として働きます。
生活者は判断を効率化する傾向があり、日常的に思い浮かべやすいブランドほど、“迷わず選べる存在”として選択されやすくなります。これは心理メカニズムに基づく優位性です。
比較の際の参照ブランドとなる
第一想起が高いブランドは、他ブランドを比較する際の基準として扱われます。品質、価格、印象などを判断するときに「まずこのブランドと比べる」という思考の流れが生まれやすく、結果として他社の評価プロセスにも影響を及ぼします。
第一想起を高めるためのブランド戦略
第一想起は偶然ではなく、戦略的に高めることができます。ブランドが提供する価値の明確化、顧客接点での一貫した体験設計、そして長期・短期の施策を組み合わせることで、生活者の記憶に定着しやすい状態をつくることが可能です。
ブランドが選ばれる理由(価値)を明確にする
生活者がブランドを選ぶ理由は、機能価値(使いやすさや性能)や情緒価値(安心感や心地よさ)だけでなく、ブランドに触れる一連の体験(コミュニケーション、購入体験、使用体験)によっても左右されます。これらの価値をどの接点でも一貫して伝えることが、第一想起向上の第一歩となります。
あらゆる接点で同じブランド印象を届ける
広告、SNS、店舗、製品、パッケージなど、生活者が触れる接点は多岐にわたります。これらが断片的にならず、共通した印象として届くことが、記憶形成において重要です。
一貫したブランド印象は、想起のトップに立つための土台になります。
長期的ブランド投資と短期施策を両立する
短期的な広告出稿だけでは、第一想起は安定して高まりません。テレビCMやSNS広告など“今すぐ届く施策”で認知を広げつつ、ブランドの理念や世界観を伝える取り組み、継続的な商品体験の積み重ねといった“長く効く投資”を並行して行うことが重要です。
即効性のある施策と、時間をかけて効いてくる施策を組み合わせることで、生活者の記憶にブランドが定着し、第一想起が持続的に向上していきます。
第一想起の調査・測定方法
第一想起は推測ではなく、測定によって把握することが重要です。代表的なリサーチ手法を紹介しながら、ブランドの現在地を正しく捉えるためのポイントを解説します。
純粋想起(自由回答)による測定
純粋想起は、選択肢を見せずに「このカテゴリで思い浮かぶブランドは?」と聞き、自発的に答えてもらう方法です。
生活者の頭の中で本当に浮かんでいるブランドをそのまま捉えられるため、自然な想起度合いを把握する際の基本となります。
第一想起(最初に思い浮かぶブランド)を測定する
第一想起は、純粋想起で得られた複数回答のうち、生活者が最初に挙げたブランドを抽出して測定します。最初に思い浮かべられたブランドは、日常の接触や体験を通じて最も強く記憶に残っている存在であり、購買検討の起点となりやすいブランドです。
“自発的に最初に出てくるかどうか”を捉えることで、ブランドがカテゴリ内でどれほど代表的な位置を確保できているかを判断できます。
助成想起(選択肢から回答)で認知を把握
選択肢を提示し、その中から知っているブランドを選んでもらうのが助成想起です。認知の広さを把握でき、純粋想起とのギャップを分析することで課題が見えるようになります。
想起集合(複数回答)で購買候補を可視化
生活者が「買うときに候補にする可能性があるブランド」を複数回答で尋ね、その一覧を可視化する方法です。第一候補だけでなく、“検討テーブルに乗っているブランド”がすべて分かるため、競合の中で自社がどの位置にいるのかを把握できます。また、どのカテゴリで回答してもらうかの設計によって、想起されるブランドの範囲は変化するため、正確な測定にはカテゴリの定義が重要です。
トラッキング調査で変動を評価
第一想起は時間とともに変動するため、定期的なトラッキング(一般的には四半期〜半年に一度)が効果的です。施策の多いブランドでは3ヶ月おきの測定が適しており、成熟したカテゴリでは半年〜一年に一度でも十分です。
新規施策や競合動向の変化を踏まえて推移を確認することで、ブランドの現在地を見誤らず、打ち手の調整につなげることができます。第一想起はブランド戦略・広告投資・顧客接点設計と密接に関係しており、マーケティング全体を俯瞰するうえでも欠かせない指標です。
まとめ|第一想起は“カテゴリ代表性 × 記憶 × 一貫性”と継続的な測定で高まる
第一想起は、ブランドが生活者の記憶のトップに位置づくうえで極めて重要な指標です。
これは、以下の3要素が揃ったときに高まりやすくなります。
- カテゴリ代表性(そのカテゴリの象徴として認識されること)
- 記憶(接触経験・体験の積み重ねによる定着)
- 一貫性(どの接点でも同じ印象が届くこと)
加えて、純粋想起・第一想起・助成想起を適切に測定し、定期的にトラッキングで変動を把握することが、継続的な改善に不可欠です。第一想起は“偶然高まるもの”ではなく、戦略的に育て、測定し続けることで、選ばれやすいブランドをつくるための重要な指標と言えます。
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第一想起やブランドの想起構造を正しく測定することで、課題の把握や施策の優先順位が明確になります。
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