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ソーシャルリスニングとは
ソーシャルリスニングとは、Twitter ・Facebook・Instagram・ブログなどのソーシャルメディア(SNS)から生活者の生の声を収集・分析し、マーケティングに役立てる手法です。
会社・ブランド・商品に対する感想や評価・評判をリアルタイムに確認ができること、商品が実際に使われているシーンを写真付きで把握できることなどが特徴です。
ソーシャルリスニングが注目されている理由
SNSで発信する消費者の増加
スマホとSNSの普及により、意見や情報を発信する生活者が増え、商品の購入意向、購入後の評価、感想などをリアルタイムでツイート・投稿することが一般的になりました。自由に発言しているため、意見にはポジティブなもの、ネガティブなものどちらも含まれています。
そのため、消費者の忌憚のない意見や本音を知ることが可能になり、注目が高まっています。
SNSやインターネットのクチコミを参考にする消費者の増加
SNS上での口コミの増加に伴い、その口コミを参考にするユーザーも増加しています。
2016年時点の総務省での調査では、インターネット上のレビュー(口コミ)をどの程度参考にするのか尋ねたところ、20~60代の全年代で、6割以上の人が「参考にする」と回答し、特に若い年代ほど、「かなり参考にする」の割合が高くなっています。
近年はSNS上でフォロワーが多いインフルエンサーの影響力も大きくなっています。インフルエンサーの行動を真似たり、意見を参考にするフォロワーが増えているためです。
SNS上のユーザーの声と影響力は企業も重視しており、インフルエンサーを積極的にマーケティング施策の中に組み込む企業も増えています。
ソーシャルリスニングの活用方法、わかること
ソーシャルリスニングでは次のようなことに活用が可能です。
自社ブランドや競合ブランドの動向把握
特定のキーワードやハッシュタグのトレンドを追跡することで、自社ブランドはもちろん競合ブランドについて、消費者が抱く印象や購入後の感想など、ブランドに対する率直なイメージを集めることができます。ブランドの動向を把握することで、自社のブランディングやマーケティング戦略の立案に活かしていくことが可能です。
ブランド調査についてはこちらでも詳しく解説しています。
ブランド調査のポイント、進め方、手法を解説
キャンペーン・プロモーション施策の効果測定
ソーシャルリスニングでは、テレビ・インターネットメディア等を通じてプロモーションや広告・キャンペーンを行った場合、施策に対する率直な感想や本音など、消費者の生の反応を得ることができます。
例えばTwitterを分析対象とし、キャンペーン前後のTwitterの声をトラッキングすることでどのようにbuzz(バズ)が拡がり、収束していくのかをモニタリングし、生活者がどのタイミングで、どのような反応を示したのかを測定することが可能です。
市場トレンドの把握
消費者の生の声を集めることにより、潜在的な消費者ニーズを発掘することもソーシャルリスニングの活用例の1つです。
会社名や商品名が、SNS内でどのように語られているかを探ると、自社商品に対しての不満を早めに検知できたり、商品の想定外の使われ方などを発見できることもあります。
また、消費者が何に困っているか、どのようなニュースやコンテンツに反応しているのかといったトレンドを収集することが、新商品開発や商品改良のヒントにつながります。
消費者の潜在ニーズについてはこちらでも詳しく解説しています。
潜在ニーズの見つけ方とは?意味や具体例、顕在ニーズとの違いを解説
炎上や風評被害のリスク回避
ソーシャルリスニングは予期せぬ炎上や風評被害といった危機管理にも活用できます。
自社商品・サービスに対するネガティブな書き込みや誤った情報が拡散されていないか、などをウォッチしていくことで、企業は早期に炎上の兆候を捉え、即時に対策を講じることが可能となります。
また、その背景にある顧客の不満や要望に対する適切な対応を行うことで、炎上が全面的に広がることを防ぎ、ブランドイメージを保護することができます。
ブランディングについてはこちらで詳しく解説しています。
ブランディングってそもそも何?意味から事例、向上のポイントまで徹底解説
ソーシャルリスニングのメリット
リアルタイムに生活者の声が収集可能
最大のメリットはリアルタイムにデータ収集が可能な点です。
ソーシャルリスニングツールを使用した場合、特定のキーワード、フレーズ、ハッシュタグ、または特定のユーザーアカウントを監視するように設定すると、これらの要素が含まれる投稿がユーザーから行われた場合、すぐに検知・収集され、テキスト分析、感情分析、トレンド分析などの方法を使用して、データを解析可能です。
商品サイクルが早く、マーケティングやプロモーションのPDCAの速度を上げることが求められている現代では、結果が出るまでのスピードは重要なポイントといえます。
商品のプロダクトライフサイクルについてはこちらで詳しく解説しています。
プロダクトライフサイクルとは?各段階の特徴とマーケティング戦略を解説
バイアスのない生活者の声が収集可能
従来のアンケート調査やインタビューでは、質問の設計やその解釈により、バイアスがかかってしまう可能性があります。
例えばアンケートやインタビューでは仮説や調査票の精度によって、回答結果に影響を与えてしまう場合があります。また、企業からのインタビューの場合、回答者自身も無意識のうちに「こんな発言はしないほうがいい」など回答に影響を及ぼす場合があります。
一方、SNSでは基本的には企業から依頼されての発言ではなく自発的なものであり、遠慮などがない生活者の「本音」「生の声」を集めることができるのがメリットです。
ソーシャルリスニングのデメリット・注意点
一方、ソーシャルリスニングのデメリットや注意点があります。
必要な情報の抽出が難しい
ソーシャルリスニングは大量のデータを分析しますが、その全てが有用な情報ではありません。無関係な話題やスパム、誤解を生む情報も含まれています。
膨大な情報の中から、不要なノイズを適切にフィルタリングし、価値あるインサイトを引き出すためには、高度な分析技術と時間が必要です。
インサイトについてはこちらで詳しく解説しています。
顧客インサイトとは?潜在ニーズとの違いや見つけ方、注意点
情報発信者の属性が把握しにくい
従来のアンケート調査と比べると、情報発信者の属性・プロフィール(年齢・性別・職業など)がわかりにくい傾向にあります。
アンケート調査でももちろん回答者は匿名ですが、年齢や性別、職業といった基本的な属性は取得可能で、回答を性年代別などに分類して傾向を見ることが可能です。
しかしソーシャルリスニングでは、属性の把握が難しく、「どのような人が発言しているか」という点が不明です。
ソーシャルリスニングを行うステップとポイント
ソーシャルリスニングを行うには、一定の手順に沿って進める必要があり、それぞれのステップでポイントがあります。
ここでは、電通マクロミルインサイトにご依頼いただいた場合のステップをご紹介します。
ご自身で実施する場合でもご参考になると幸いです。
目的の明確化とプレ分析
いきなり分析を行うのではなく、まずは調査の目的を明確にする必要があります。
ソーシャルリスニングに限らず、調査・分析を行う際には、
「何のために調べるのか」「その結果をどう生かすのか」
といったことを明確にすることが重要です。この点をおろそかにすると、調査後に「これも知りたかった」「なんとなく傾向はつかめたけど、施策にどう生かせばいいのかわからない」といった結果になりかねません。
また目的に沿って、事前にプレ分析を行い傾向を把握することで、対象とするキーワードや検索期間など設計します。
分析データ抽出・クリーニング
分析設計に基づきデータを抽出します。また、データに含まれているノイズ(アフィリエイト系、関係性の低い発言)を極力排除します。
RT投稿やニュース記事などを除いたオーガニック投稿のみ抽出することで、「生活者の声」が発信されているデータのみを分析の対象にします。
分析
電通マクロミルインサイトでは、分析ツールを行い、SNS上の発言を分析します。
例えば以下のような分析が可能です。
時系列でどのような発言が多いのかをグラフ化し、キャンペーンやプロモーションの効果を確認することができます。
リツイート数の多い投稿をランキング化し、共感や反感を集めやすいトピックや論調を把握することが可能です。
頻出する単語をランキングしたりマッピングをすることでどのような内容が語られているかの傾向がわかります。
SNS上で話題化した投稿内容をカテゴライズし、話題別の構成比を算出することでポジネガの割合がわかります。
また、キャンペーン効果についてポジネガ分析を行う場合、ポジティブな反響数を確認するだけではなく、「具体的に影響を与えた要素(起用タレント/CM視聴感想/購買報告/カスタマー対応etc)まで深掘りして発言を分類することで要因を分析することも可能です。
ご報告・納品
分析結果を取りまとめ、レポート作成し、ご納品します。
電通マクロミルインサイトの提供するソーシャルリスニングサービスはこちらもご覧ください。
ソーシャルリスニングを含むマーケティングリサーチのことなら電通マクロミルインサイトにご相談ください。
解説した通り、ソーシャルリスニングは消費者のリアルを把握できる有効な分析方法です。
マーケティング課題に合わせて最適な分析を行うためには、デメリットや注意点を踏まえたうえで、場合によっては従来のアンケート調査やグループインタビュー調査、他の分析手法などと掛け合わせて実施することもおすすめいたします。
ソーシャルリスニングの実施などをお考えの場合は是非お問い合わせください。
マーケティングリサーチのセミナーや自主調査企画も実施。