掲載日:2022年7月10日
更新日:2026年1月30日
企業が成長を続けるためには、商品やサービスを通じて顧客に「満足」してもらえるかどうかが大きな鍵を握ります。その実態を把握するために欠かせないのが 顧客満足度調査(CS調査)です。
調査を通じて顧客の声を数値化し、改善点を明確にすることで、商品開発やサービス品質の向上、さらにはリピーターやファンの獲得にもつながります。
本記事では、顧客満足度調査の基本から目的、指標や実施方法を、企業が成果につなげるためのポイントをご紹介します。
目次
顧客満足度調査(CS調査)とは
顧客満足度調査とは、商品やサービスを利用した顧客がどの程度満足しているかを数値化・可視化する調査です。企業はこの結果を基に改善点を見出し、顧客体験を高める施策につなげます。
CS とはCustomer Satisfaction(カスタマー・サティスファクション) の略で、日本語に直訳すると「顧客満足」を意味します。企業活動におけるCS調査は、顧客の評価を定量的に測定し、サービス改善やマーケティング戦略に活かすことを目的としています。
満足度は単なる感情ではなく、リピート購入や口コミ、ブランドへの信頼につながる重要な要素です。そのため、多くの企業が顧客満足度調査(CS調査)を定期的に行い、結果を経営指標や現場改善に役立てています。
特に商品やサービスを市場に投入した直後やリニューアル直後、競合との差別化を図りたい場面では、顧客満足度調査の役割が大きくなります。
顧客満足度調査(CS調査)を行う目的
顧客満足度調査(CS調査)を行う目的は主に次のようなものがあります。
商品・サービス改善につなげる
顧客満足度調査(CS調査)の最大の価値は、商品やサービスの改善点を具体的に把握できることです。顧客が日常的に抱いている不満や要望は、社内だけで議論していても気づきにくい場合が多くあります。
たとえば、操作が複雑で使いづらいアプリ、店舗での接客スピード、アフターサポートのわかりにくさといった問題は、実際に利用した顧客の声からこそ浮き彫りになります。
また、調査を通じて得られたデータは「改善すべきポイントの優先順位」を決めるうえでも役立ちます。顧客が最も強く不満を感じている点を把握すれば、限られたリソースを集中させて迅速に改善することが可能です。結果として商品やサービス全体のクオリティが向上し、顧客満足度そのものの引き上げにつながります。
さらに、調査結果を部門横断的に共有することで、開発部門は仕様改善に、営業部門は提案の改善に、カスタマーサポートは応対フローの見直しに活かせるなど、組織全体で顧客視点の改善活動を推進できます。単なる顧客の声の収集に留まらず、企業の競争力強化に直結するのが、顧客満足度調査(CS調査)の大きな意義です。
リピーターやファンの獲得
顧客満足度調査(CS調査)は、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客をリピーターやファンへと育成するための重要な手がかりになります。
満足度の高い顧客は「再購入」や「継続利用」に直結しやすく、さらに周囲への推奨や口コミ拡散といった形で企業の成長に寄与します。逆に、不満を持ったままの顧客はリピートにつながらないばかりか、ネガティブな評価を拡散してしまうリスクもあるため、早期に課題を把握することが欠かせません。
調査結果から「顧客が何に満足し、どの要素が再購入の動機になっているのか」を把握できれば、強みをさらに強化する戦略が描けます。たとえば「商品の品質に満足している」という声が多ければ、その安心感を打ち出したコミュニケーションを展開することで、ブランドの信頼をより強固にできます。
また、ブランドロイヤルティの高い顧客に焦点を当てた施策(会員限定サービスやポイントプログラム、先行体験イベントなど)を導入すれば、ファン化を加速させることも可能です。
顧客満足度調査(CS調査)は単なる“満足度の測定”ではなく、“リピーターやファンをいかに増やすか”という成長戦略の出発点になります。企業にとってLTV(顧客生涯価値)を高めるための手段のひとつともいえます。
競合他社との差別化
顧客満足度調査(CS調査)は、競合他社との差別化を明確にするための有効な手段です。同じ商品カテゴリーやサービス領域であっても、顧客が感じる価値や満足度には大きな差が生まれます。自社の強みと弱みを定量的に把握することで、「なぜ自社が選ばれるのか」「どの部分で競合に劣っているのか」を客観的に評価できるのです。
たとえば、調査で「価格に対する満足度は高いが、アフターサポートに不満がある」という結果が出た場合、それは競合が強みを発揮している領域である可能性があります。この情報をもとにサポート体制を強化すれば、競合との差を縮めることができます。逆に「商品の使いやすさに高い評価が集まっている」のであれば、それを差別化ポイントとして積極的に打ち出すことが可能です。
さらに、顧客満足度調査(CS調査)を継続的に行えば、競合環境の変化や市場トレンドに対して自社がどのような位置にあるかを常に確認できます。これは新規顧客へのアピールだけでなく、既存顧客に対する「選び続ける理由」の強化にも直結します。
企業の信頼性やブランド価値向上
顧客満足度調査(CS調査)は、単なる改善のためのツールにとどまらず、企業の信頼性やブランド価値を高める効果も持っています。顧客にとって「この企業は自分たちの声をきちんと聞き、行動に移している」と実感できることは、大きな安心感と信頼につながります。
特に近年は、商品やサービスの機能的な価値だけでは差別化が難しくなっているため、「顧客の声を尊重する姿勢」そのものがブランド価値を形成する要素となっています。
また、定期的に調査結果を公表したり、改善プロセスを透明化したりすることは、社外に対しても誠実さを示すアピールになります。これにより、取引先や株主などのステークホルダーからも「信頼できる企業」と認識されやすくなります。
さらに、顧客満足度の高さは口コミやSNSでの好意的な発信にもつながり、結果的に企業ブランドの自然な広がりを後押しします。こうした「顧客が育てるブランド価値」は、広告やキャンペーン以上の説得力を持つ場合もあります。
顧客満足度を測る指標
顧客満足度調査(CS調査)でよく使用される指標には次のようなものがあります。
NPS®(ネットプロモータースコア)
NPS®(Net Promoter Score)は、顧客が自社の商品やサービスをどれほど他者に推奨したいと思っているかを測定する指標です。
質問は非常にシンプルで、
「あなたはこの商品(サービス)を友人や同僚に勧めたいと思いますか?」
という1問を軸に、0点(まったく勧めたくない)から10点(強く勧めたい)までの11段階で回答してもらいます。
その結果をもとに顧客を3つのグループに分類します。
- 推奨者(Promoters:9〜10点) … 積極的に周囲へ紹介・推奨するファン層
- 中立者(Passives:7〜8点) … 満足はしているが熱意は弱く、競合へ流れる可能性がある層
- 批判者(Detractors:0〜6点) … 不満を持ち、否定的な口コミを拡散する可能性がある層
NPS®は「推奨者の割合 − 批判者の割合」で算出され、数値が高いほど顧客のロイヤルティが強いと評価できます。

この指標の特徴は、単なる満足度ではなく「行動意向」に踏み込んでいる点です。満足していても「他人に勧めるか」となると厳しく評価する顧客が多く、結果として企業にとってより現実的な課題が見えてきます。
さらに、NPS®は売上やLTV(顧客生涯価値)との相関が強いとされ、グローバル企業でも広く採用されています。
CSAT
CSAT(Customer Satisfaction Score)は、顧客が商品やサービスにどの程度満足しているかを直接的に測定する指標です。日本語では一般的に「顧客満足度スコア」と呼ばれ、シンプルかつ理解しやすい指標として多くの企業で導入されています。
CSATは、顧客に対して「今回の商品(サービス)にどの程度満足しましたか?」と質問を行い、5段階や7段階のリッカート尺度で評価を得るのが一般的です。
選択肢は「とても満足」から「とても不満」まで段階的に用意され、その平均値や「満足」「とても満足」を選んだ割合をスコア化します。
商品購入、カスタマーサポート利用、Webサービスの操作など、さまざまな接点で活用可能で、経営層から現場まで直感的に理解できるため、組織内で共有・活用しやすい指標です。
しかし一方で、CSATは「その瞬間の満足度」に強く依存するため、長期的なロイヤルティまでは測りにくいという特徴があります。たとえば、一時的に満足していても継続利用や他者への推奨にはつながらないケースがあります。そのため、NPS®やCESと組み合わせて運用することで、より包括的な顧客理解が可能になります。
JCSI・ACSI
顧客満足度を客観的に評価する際、世界的に広く活用されているのがACSI(米国顧客満足度指数)や日本版のJCSIです。
ここでは、JCSIとACSIの概要やそれぞれの評価指標の特徴について解説します。
ACSI(米国顧客満足度指数)
ACSI(American Customer Satisfaction Index)とは、1994年に米国ミシガン大学ビジネススクールが開発した指標で、全米の消費者が企業や公共サービスにどの程度満足しているかを体系的に測定するものです。四半期ごとに調査・発表され、米国内の幅広い業種を対象にしています。
JCSI(日本版顧客満足度指数)
JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)とは、公益財団法人日本生産性本部が2009年に創設した、ACSIをベースにしながら日本の産業構造や生活者特性に合わせて設計した、日本独自の顧客満足度指数です。
JCSIは年間約12万人を対象に調査され、70以上の業種・400を超える企業やブランドが評価対象となっています。スコアは 顧客期待・知覚品質・知覚価値・顧客満足・推奨意向・ロイヤルティという6つの構成概念から算出されるため、単なる「満足」だけでなく「再利用意向」「推奨意向」までを包括的に把握できるのが特徴です。
日本企業にとって、JCSIは自社の立ち位置を競合他社や業界平均と比較できる貴重なベンチマークとなります。また、政府や研究機関が参照する公的性格の強い調査であるため、社外発信や広報にも活用できる信頼性の高い指標です。
CES(カスタマーエフォートスコア)
CES(Customer Effort Score)は、顧客が目的を達成するまでに「どれだけの労力を感じたか」を数値化する指標です。特にカスタマーサポートやオンラインサービスの分野で注目を集めています。
測定方法はシンプルで、顧客に対して「本件の目的を達成するために、どの程度手間がかかりましたか?」という質問を行い、5~7段階の評価で回答を得るのが一般的です。
スコアが低いほど顧客がスムーズにサービスを利用できていることを意味し、高いスコアは「使いづらさ」や「不便さ」を示します。
一方でCESは「顧客の感情的満足度」までは測れないため、CSATやNPS®と併用するのが望ましいとされています。例えば、サポート対応の迅速さ(CESの改善)と、対応品質への満足度(CSAT)を組み合わせることで、より立体的な顧客理解が可能になります。
LTV(Life Time Value/顧客生涯価値)
LTV(Life Time Value/顧客生涯価値)とは、ある顧客が取引開始から終了までの間に、企業にもたらす利益の総額を指す指標です。単発の売上ではなく、顧客との長期的な関係から得られる収益を評価するため、マーケティングや経営戦略の中心概念として活用されています。
一般的には以下のような計算式で求められます:
LTV=平均購入単価×購入頻度×継続期間
たとえば、ある顧客が年間10,000円の商品を5年間継続して購入する場合、その顧客のLTVは50,000円となります。より高度なモデルでは、利益率・解約率・割引率なども加味して算出します。
満足度が高い顧客はリピート率が高まり、継続期間も長くなるため、結果的にLTVが向上するなど、顧客満足度と関連性の高い指標です。逆に満足度が低いと解約や離脱が早まり、企業にとっての収益機会が減少します。
顧客満足度調査の進め方
顧客満足度調査の進め方について解説します。
調査の目的設定と仮説立案
顧客満足度調査を効果的に進めるためには、まず調査の目的を明確に定義することが不可欠です。
「顧客ロイヤルティを把握したい」「商品改善の優先度を明らかにしたい」「サポート体制の課題を特定したい」など、なるべく具体的に設定します。
目的が曖昧だと得られたデータをどう活用すべきかが不明確になってしまうためです。
さらに、目的に基づいて仮説を立案することも重要です。例えば「商品Aは価格に対する満足度は高いが、使いやすさに課題があるのではないか」といった仮説を設定すれば、調査設計や質問項目が具体的になります。
目的と仮説をしっかりと固めることで、調査が単なる満足度の測定に終わらず、経営やマーケティング戦略に活かせる実践的な知見へとつながります。
調査対象とタイミングの決定
調査の精度を左右する要素のひとつが「誰に、いつ聞くのか」という設計です。調査対象を選ぶ際は、新規顧客と既存顧客を分けて分析できるようにするのが効果的です。
新規顧客からは、サービスや商品の第一印象に基づいた鮮度の高い意見を、既存顧客からは継続利用の理由や離脱要因を把握できます。また、顧客属性(年齢・性別・地域・購買履歴など)を考慮してサンプルを分けることで、結果の精度と実用性が高まります。
調査のタイミングも重要で、購入直後・サービス利用後・サポート対応後など、体験が記憶に残っているタイミングが最適です。時間が経ちすぎると顧客が細部を忘れてしまい、回答の信頼性が低下します。対象とタイミングを戦略的に設計することで、顧客の本音に近い声を収集でき、分析の有効性が格段に高まります。
アンケートやインタビューの設計
調査設計の成否は、質問項目の作り方に大きく左右されます。
アンケートの場合は、設問をシンプルかつ具体的にし、回答者の負担を減らすことが鉄則です。「満足・不満足」を評価する定量的な質問に加え、「具体的にどの点に不満を感じましたか」といった自由回答を組み合わせることで、数値と意見の両面から顧客の声を捉えられます。
一方、インタビュー調査では、掘り下げ質問を用いて背景や感情を引き出すことが効果的です。調査者が誘導的にならないよう、オープンクエスチョンを中心に構成するとよいでしょう。
また、質問数は5〜10問程度に絞り、時間も10〜15分程度に設計すると回答率が向上します。さらに、スマホ対応や匿名性の担保など、回答しやすい環境を整備することも欠かせません。
調査実施とデータ回収
調査を実施する際は、回収率を高め、データの信頼性を確保する工夫が求められます。
また、回答者にインセンティブ(ポイント付与、割引クーポンなど)を提供するのも有効な施策です。
データ回収後は、未回答や不完全な回答を精査し、分析に耐えうるクリーンなデータセットを整えることが必要です。さらに、単に数値を集計するだけでなく、自由記述欄をテキストマイニングなどで分析することで、顧客の潜在的な不満やニーズを発掘できます。
顧客満足度調査(CS調査)実施のポイント
様々な顧客満足度の実績があるマーケティングリサーチ会社として、実施のポイントは次のようなものがあります。
設問はシンプルかつわかりやすくする
難解な表現は回答離脱を招きます。短く平易な質問が好ましいです。
専門用語や難しい単語、長い文章などは避け、対象者が何を聞かれているのか、分かり易い文章を心がける必要があります。
適切な質問項目数に設定する
せっかく調査を実施するので色々質問をたくなりますが、質問数が多くなりすぎないように注意する必要があります。
質問数が多すぎると回答者が回答するのが面倒になり、途中で離脱してしまうなどの懸念があります。
選択肢を限定しない
質問に対する回答を選択肢の中から選んでもらう場合、「はい」「いいえ」の2択に限定せず作成しましょう。
2択だと回答者が回答し易いという利点もありますが、分析の際に大雑把な結果しか得ることができないため、具体的な内容が分からず改善点や良い点・悪い点など詳細の内容を明らかにすることができません。
いくつかの選択肢の中から選ぶことができるような質問にする必要があります。
また、設定した選択肢以外の可能性もあるため「その他」や、該当するものがない場合の選択肢として「あてはまるものはない」の回答も忘れずに作成しましょう。
調査結果の活用方法
調査で得られたデータは、分析して終わりではなく、実務の改善や意思決定に活かしてこそ真の価値を発揮します。ここでは、調査結果を戦略的に活用するためのポイントについて解説します。
定期的に調査を行う
顧客のニーズは日々変化します。競合も日々改善を行い、様々な製品やサービスを世の中に送り出していくでしょう。
顧客満足度調査は、1回行えば終わりではなく、自社の商品/サービス改善や顧客ニーズ把握のためにも定期的に実施する必要があります。
そうすることで消費者のニーズに合わせて商品やサービスをより良いものにしていくことが可能になります。
売上や満足度が高くなったら調査をやめるのではなく、その理由や今後更に何か必要なのかを把握するためにも定期的に調査を行いましょう。
ユーザー属性と紐づけを行う
調査で対象者プロフィールを把握することで、年齢や住んでいる場所などその人の細かい情報を得ることができます。
こうした調査結果により、具体的に「何歳のどのような人が商品に満足しているのか」を把握することができます。
仮に20代女性の満足度を上げていきたいと考えた時、その属性に含まれている人の不満点についてのデータを分析することで、ターゲットとする属性の人々に何が求められているのか、や現状の施策の改善点が見えてくることもあります。
調査で明らかにしたい内容にプラスして対象者属性を確認することで、競合ユーザーにはどのような特徴があるのか、自社で販売している商品Aのユーザープロフィールはどのようなものかなどを把握することができるようになります。
関係部署にフィードバックする
調査結果は、経営層だけでなく、商品開発、営業、カスタマーサポートなど、顧客と接点のある全部署で共有することが重要です。顧客から寄せられた具体的な意見や要望をフィードバックすることで、各部署が顧客視点で自らの業務を見直すきっかけになります。
また、ポジティブな評価を共有することは、現場スタッフのモチベーション向上にもつながります。
顧客満足度調査(CS調査)についてよくある質問
ここでは顧客満足度調査(CS調査)について、よくある質問を紹介します。
顧客満足度調査(CS調査)とNPS®調査の違いは?
顧客満足度調査(CS調査)は満足度の水準を測るのに対し、NPS®は顧客の推奨意向を測る点が異なります。
自社で実施と調査会社依頼はどう使い分ける?
小規模で簡易的な調査は自社でも可能ですが、精度や信頼性を高めたい場合は調査会社に依頼するのが有効です。
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