ビジネス環境が絶え間なく変化する現代において、企業がマーケティング活動の成功確率を高めるためには、目的に応じた市場調査が重要です。
本記事では、「市場調査」とは何か、その方法やマーケティングへの活用方法について、調査会社として詳しく解説します。
目次
市場調査とは
市場調査とは、事業環境や顧客、競合といった市場に関する情報を、体系的に収集・分析する活動を指します。
企業が自社のマーケティング戦略を効果的に展開するための出発点となるもので、事業の成否を左右する基盤でもあります。
例えば次のような情報が対象となります。
・競合他社の強み弱みと自社の状況を比較する
・顧客のニーズや将来のトレンドを把握する
市場調査とマーケティングリサーチの違い
市場調査とは、特定の市場や消費者動向、競合状況などの「市場」に特化した調査を意味し、マーケットリサーチと呼ぶこともあります。
対して、「マーケティングリサーチ」には、市場を対象とする市場調査のほかに、商品、広告、価格、ブランド等のマーケティングに関わるさまざまなことを対象とし、より広範なマーケティング課題に対応する調査を指します。
▼市場調査と市場調査の違い・関係性について

市場調査は、マーケティングリサーチの種類の一つと言えます。
市場調査の目的とメリット
市場調査の目的は、企業の意思決定やマーケティング施策のために、信頼性の高い情報を得ることです。
市場調査を行う主な目的は、大きくは下記の4つです。
1.市場規模や市場トレンドの把握
2.消費者のニーズ把握
3.競合他社のシェア・動向を把握
4.新規事業や海外進出など新市場への参入検討
それぞれを具体的に解説していきます。
目的1:市場規模や市場トレンドの把握
市場調査の主な目的として、市場規模やトレンドを把握することがあげられます。
ひとくちに市場といっても、さまざまな業界があり、販売規模や製造・流通・小売に関わる企業の数などによって対象とする顧客層が異なります。
成長する市場がある一方で、縮小している市場が存在します。
これらの要素を勘案して対象市場が自社にとって魅力的か、リスクの有無などを把握しマーケティングや経営戦略に活かすことも市場調査の目的のひとつです。
目的2:消費者のニーズ把握
買い手である消費者のニーズを把握することは、マーケティング戦略の出発点と言えます。
既に高品質の商品やサービスは世の中で飽和状態のため、企業視点で良い商品・サービスを開発しても、消費者に受け入れられるとは限りません。
そのため、消費者自身も意識していない隠れたニーズに対応することが、ますます重要になっています。
自社の商品・サービスへの認知度、イメージ、満足度といったことはもちろん、消費者のライフスタイルや価値観の変化を把握することが市場調査の目的の一つです。
目的3:競合他社のシェア・動向を把握
市場の中で生き残るために、競合他社との差別化は重要です。そのためには市場における自社だけでなく、競合他社の強み・弱み、そして他社のシェアや戦略などを把握する必要があります。
市場のなかで、自社の取るべきポジションを把握し、自社のマーケティング戦略に対する競合他社の反応を予測することも市場調査の役割です。
目的4:新規事業や海外進出など新市場への参入検討
自社にとって新たな市場に参入する場合に、市場に参入する価値や成功の可能性について判断を行うために市場調査を行います。
特に海外進出を図る場合には、顧客ニーズに加えて現地の文化や独自のビジネスルールを事前に把握するために、デスクリサーチや海外調査が必要です。
市場調査の主な調査手法
市場調査には目的や対象に応じた多様な手法があります。それぞれの特徴を理解し、適切に選択することが重要です。
インターネットリサーチ
Webを活用したアンケート調査は、短期間で多くのサンプルを収集できるため、コストパフォーマンスに優れています。大規模パネルに基づいたリサーチが可能で、トレンド把握や消費者の意識調査に最適です。
グループインタビュー
対象者を会場に集めたりオンラインで、商品試用や意見聴取を行う手法です。消費者の反応を直接観察できるため、商品開発やコンセプトテストに向いています。
特にグループインタビューは、参加者同士の意見交換から新たな洞察を得ることができるため、アイデア発想にも有効です。
デスクリサーチ
統計データや業界レポート、公開資料を活用して市場全体を俯瞰する調査手法です。コストを抑えながら、市場環境の基礎情報を収集する手段として有用です。
インターネットリサーチやグループインタビューに進む前にデスクリサーチを実施することで、次のステップである調査設計に向けた仮説構築に必要な情報を効率的に収集することが可能です。
エキスパートインタビュー
各専門領域の有識者や、大学・研究機関、業界誌などのジャーナリストなど、専門家の立場から業界や商品・サービス等についての意見の収集や他社事例の収集をヒアリングするインタビュー調査です。
アクセスが難しい一次情報や社外の知見、競合情報を得ることで、経営戦略・事業戦略の立案や新規事業開発などをよりスムーズに進めることができます。
市場調査のプロセス・方法
効果的な市場調査を実施するには、計画的かつ論理的なプロセスに基づいたアプローチが求められます。特に、調査の初期段階における課題設定や仮説構築の質は、その後のすべての調査工程に大きく影響を与えます。
市場調査のプロセスは調査目的や課題の内容によって異なりますが、ここでは一般的な進め方と重要なポイントを段階ごとに解説します。
1.目的を明確化する
市場調査の出発点として最も重要なのは、調査の「目的」を明確に定義することです。
マーケティングリサーチでは、まず解決すべき課題が何かを特定し、それに対してどのような情報が必要なのかを整理する問題解決型のアプローチが求められます。
例えば、ある商品の売上が伸び悩んでいる場合、課題の原因が広告の訴求力にあるのか、価格戦略なのか、それとも流通チャネルや商品コンセプトそのものに起因するのかは、初期段階では明確ではありません。誤った仮説に基づいて広告調査を行っても、実は流通政策に問題があったということであれば、調査結果は実効性を持ちません。
そのため、最終的な調査の目的と、調査業務の適切な範囲を正しく設定することが、市場調査を計画する上での第一歩となります。
2.事前のデスクリサーチ実施
デスクリサーチとは、既に公開されている情報や社内データなどを活用して、調査対象に関する基礎情報を収集・整理する作業です。
インターネット上の公開データ、政府や自治体の統計、業界団体のレポート、新聞・雑誌記事、業界専門誌、既存の調査会社が販売する市場レポートなどが主な情報源となります。
この段階での情報収集は、新たに実施する一次調査の必要性を見極めたり、仮説立案の精度を高めたりするために有効です。
場合によっては、デスクリサーチの段階で課題が解決し、追加調査が不要になるケースもあります。また、特定の業界や商品アイテムに関する既存の調査レポートを有料で入手することで、効率的に市場の全体像を把握することも可能です。
3.調査企画設計(予算やスケジュールの決定)
調査の目的や仮説が整理された後は、調査の具体的な企画設計に移ります。
この際、調査にかけられる予算やスケジュールも重要な前提条件となります。計画段階では以下の項目について整理する必要があります。
・調査目的と調査範囲の明確化
・対象とするユーザー層、サンプリング条件
・調査手法(定量/定性)、調査項目の設計
・実査の方法(オンライン、郵送、会場など)
・分析手法と活用イメージ
・スケジュール(調査期間、レポート納期)
・コスト(調査費用全体と内訳)
限られたリソースのなかで最適な調査設計を行うには、リサーチの専門的な知識だけでなく、経験や判断力、現場感覚も不可欠です。
4.市場調査の実施
調査設計が整ったら、いよいよ調査の実施フェーズに移ります。
アンケート調査(インターネットリサーチ/郵送調査/会場調査)や、グループインタビュー、デプスインタビュー、ホームユーステスト(HUT)など、目的に応じた調査手法が用いられます。
近年はインターネットリサーチの活用が主流となっており、調査対象者との接点はメールやSNS、Webフォームなどを通じて行われます。
また、計画段階で策定した仕様や設計に沿って調査が正しく行われているかを確認し、実査中も品質管理を行うことが、リサーチ担当者の重要な役割です。
5.結果を分析し、打ち手につなげる
市場調査の目的は「データ収集」ではなく、「意思決定につながる示唆を導くこと」にあります。したがって、調査終了後には得られたデータを適切に分析し、実行可能な打ち手へとつなげる工程が不可欠です。
定量調査では、集計ツールや統計ソフトウェアを活用して、平均値、構成比、中央値、相関分析、クロス集計などを通じて傾向を明らかにします。
定性調査では、対象者の発言や記述内容から、動機や価値観を読み解いてテーマや仮説ごとに整理します。発言・文章データの解釈には一定の訓練と分析経験が求められますが、顧客理解の深掘りやインサイト抽出に大きく貢献します。
市場調査に関してよくいただく質問
市場調査についてよくいただく質問は下記の通りです。
デスクリサーチによる市場調査なら自力で可能では?
オープンソースの情報は自社でも入手可能なものが多く存在しますが、その中から信頼性が高く、有用な情報を見極めて抽出することは容易ではありません。
さらに、有料のデータベースを活用したり、複数の情報源から必要なデータを整理・統合するには、高度なリサーチスキルと豊富な経験が求められます。
そのため、調査の精度と効率を重視する場合は、専門性を備えた調査会社に依頼することが有効な選択肢となります。
市場調査で調査不可能な項目は?
調査会社はあらゆる情報を集めることができると思われがちですが、倫理的にアクセスすることができない情報や表に出にくい情報が存在します。
例えば、企業間の取引に関わる情報や製造上の企業秘密といったことは当然ながら公表されることはありません。
特定商品の流通段階での価格を明らかにしたい、他社の真似できない製法を持つ商品の特性を明らかにしたいといったことが戦略上の課題としてあげられたとしても、市場調査では解決できない種類の問題ということになります。
調査は万能ではなく、調査を行っても結果が得られない場合があることも認識しておく必要があります。
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豊富な調査手法
インターネットリサーチによるアンケート調査以外にも、調査の内容や目的に応じて、デスクリサーチやエキスパートインタビューなど幅広い手法のご提案が可能です。
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市場調査は、企業が変化する市場環境に対応し、マーケティング活動を成功に導くための不可欠な手段です。正しい知識と適切な手法選びにより、調査結果を実際のビジネスに活かすことができます。
調査会社を上手に活用することで、自社だけでは得られない専門的な知見や高品質なデータを活用した、より実践的なマーケティング戦略が可能になります。
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