掲載日:2025年7月25日
更新日:2026年2月19日
企業の製品開発やマーケティング戦略において、客観的なデータに基づいた意思決定は成功の鍵を握ります。そのために不可欠なのが「市場調査」です。
しかし、市場調査と一言で言っても、その目的や手法は多岐にわたります。「何から始めれば良いのか」「どの手法が自社に適しているのか」と悩む方も少なくないでしょう。この記事では、市場調査の基本的な知識から、目的別の具体的な手法、成功に導くための手順とポイントまでを網羅的に解説します。
目次
市場調査とは
市場調査とは、製品やサービスの開発・販売といった企業のマーケティング活動を行う際に、市場の動向や顧客のニーズ、競合の状況などを様々な手法を用いて調査し、客観的な情報を収集・分析するプロセスです。
新規事業への参入可否を判断したり、既存商品の改善点を探ったりと、ビジネスにおける重要な意思決定を行うための羅針盤のような役割を果たします。
調査対象は、市場規模や成長率、顧客の属性や購買行動、競合他社の戦略など多岐にわたります。
・競合他社の強み弱みと自社の状況を比較する
・顧客のニーズや将来のトレンドを把握する
市場調査とマーケティングリサーチの違い
市場調査とは、特定の市場や消費者動向、競合状況などの「市場」に特化した調査を意味し、マーケットリサーチと呼ぶこともあります。
対して、「マーケティングリサーチ」には、市場を対象とする市場調査のほかに、商品、広告、価格、ブランド等のマーケティングに関わるさまざまなことを対象とし、より広範なマーケティング課題に対応する調査を指します。
▼市場調査と市場調査の違い・関係性について

つまり、マーケティングリサーチの方がより広義を意味する言葉で、マーケティングリサーチの種類の1つが市場調査といえます。
なぜ市場調査は重要なのか?実施する3つのメリット
市場調査を行うことで、企業はデータに基づいた戦略的な意思決定が可能になり、ビジネスを成功に導くための強力な武器を手に入れることができます。
新規事業や製品開発の成功確率を高める
新しい市場に参入したり、新製品を開発したりする際、市場調査は失敗のリスクを大幅に軽減します。市場の規模や成長性、潜在顧客のニーズ、競合の有無などを事前に把握することで、その事業が本当に市場に受け入れられるのかを客観的に判断できます。調査結果によっては、事業計画の修正や、場合によっては撤退という賢明な判断を下すことも可能になり、無駄な投資を防ぐことにつながります。
既存製品の改善点や新たなニーズを発見する
市場は絶えず変化しており、顧客のニーズも多様化しています。既存製品の売上が伸び悩んでいる場合、市場調査を通じて顧客満足度や不満点、競合製品との比較評価などを明らかにすることで、具体的な改善点を発見できます。また、顧客自身も気づいていないような潜在的なニーズや、新たなターゲット層を見つけ出すきっかけにもなり、製品の改良や販促強化のための重要な判断材料となります。
効果的なマーケティング戦略を立案できる
市場調査によって得られる顧客の属性、価値観、購買行動などの詳細なデータは、効果的なマーケティング戦略を立てる上で不可欠です。ターゲット顧客がどのような情報をどこから得て、何を決め手に購入に至るのかを理解することで、より的確なメッセージを最適なチャネルで届けることが可能になります。これにより、広告宣伝費などのマーケティングコストを効率的に活用し、投資対効果を最大化できます。
市場調査の主な調査手法
市場調査には目的や対象に応じた多様な手法があります。それぞれの特徴を理解し、適切に選択することが重要です。
インターネットリサーチ
Webを活用したアンケート調査は、短期間で多くのサンプルを収集できるため、コストパフォーマンスに優れています。大規模パネルに基づいたリサーチが可能で、トレンド把握や消費者の意識調査に最適です。
グループインタビュー
対象者を会場に集めたりオンラインで、商品試用や意見聴取を行う手法です。消費者の反応を直接観察できるため、商品開発やコンセプトテストに向いています。
特にグループインタビューは、参加者同士の意見交換から新たな洞察を得ることができるため、アイデア発想にも有効です。
デスクリサーチ
統計データや業界レポート、公開資料を活用して市場全体を俯瞰する調査手法です。コストを抑えながら、市場環境の基礎情報を収集する手段として有用です。
インターネットリサーチやグループインタビューに進む前にデスクリサーチを実施することで、次のステップである調査設計に向けた仮説構築に必要な情報を効率的に収集することが可能です。
エキスパートインタビュー
各専門領域の有識者や、大学・研究機関、業界誌などのジャーナリストなど、専門家の立場から業界や商品・サービス等についての意見の収集や他社事例の収集をヒアリングするインタビュー調査です。
アクセスが難しい一次情報や社外の知見、競合情報を得ることで、経営戦略・事業戦略の立案や新規事業開発などをよりスムーズに進めることができます。
市場調査を成功に導く具体的な5つのステップ
市場調査は、やみくもに実施しても良い結果は得られません。目的を達成するためには、計画的にステップを踏んで進めることが重要です。
ステップ1:調査の目的とゴールを明確に設定する
まず、「何のために調査を行うのか」「調査結果を何に活用したいのか」という目的とゴールを具体的に設定します。例えば、「新製品のターゲット層を決定するため」「既存サービスの解約率が高い原因を特定するため」など、目的が明確であればあるほど、その後のプロセスで判断に迷うことがなくなります。
ステップ2:調査結果を予測する仮説を立てる
調査を行う前に、「市場はおそらくこうなっているのではないか」「顧客はこんな不満を抱えているはずだ」といった仮説を立てることが重要です。仮説を持つことで、調査で検証すべき点が明確になり、質問設計の精度が高まります。調査結果を仮説と比較分析することで、より深い洞察を得ることができます。
ステップ3:最適な調査手法と対象者を選定する
設定した目的と仮説に基づき、最も適した調査手法を選びます。市場全体の数的な裏付けが欲しいなら定量調査、個別の深い意見が聞きたいなら定性調査が適しています。同時に、誰を対象に調査するのか(ターゲット)を具体的に定義します。年齢、性別、居住地、ライフスタイルなどを細かく設定することで、調査の精度が向上します。
調査手法 | 主な目的 | メリット | デメリット |
アンケート調査 | 市場全体の傾向把握、認知度調査 | 多くのサンプルを収集可能、統計的分析が容易 | 深いインサイトは得にくい |
インタビュー調査 | 深層心理の探求、ニーズの背景理解 | 本音やインサイトを引き出せる | 多くのサンプルは集めにくい、コストが高い |
覆面調査 | サービス品質の実態把握 | 客観的でリアルな評価が得られる | 調査員の質に結果が左右される |
ステップ4:調査票の作成と実査の実行
選定した手法に合わせて、質問項目を作成します。回答者を誘導するような質問は避け、誰が読んでも同じように解釈できる、分かりやすい言葉で作成することが大切です。質問数が多すぎると回答者の負担が大きくなるため、目的に沿って必要な項目に絞り込みましょう。作成後は、計画に沿って実際に調査を実施します。
ステップ5:結果の集計・分析とアクションプランの策定
調査が完了したら、収集したデータを集計し、分析を行います。定量調査の場合はグラフなどを用いて視覚的に分かりやすくまとめ、定性調査の場合は発言内容から共通の意見や重要な示唆を抽出します。分析結果から何が言えるのかを考察し、レポートにまとめます。最も重要なのは、分析結果を基に「次に何をすべきか」という具体的なアクションプランに繋げることです。
市場調査を成功させるために押さえるべき3つのポイント
効果的な市場調査を実施し、ビジネスの成果に繋げるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
目的を見失わず、常に立ち返る意識を持つ
調査を計画・実行していると、細かい部分にこだわりすぎて、本来の目的を見失ってしまうことがあります。定期的に「この調査は何のために行っているのか」という原点に立ち返り、目的達成のために最適な選択ができているかを確認する習慣が重要です。
調査対象者の視点に立った質問を設計する
質問を作成する際は、回答者である対象者の視点を常に意識することが不可欠です。専門用語や業界用語を避け、誰にでも分かりやすい平易な言葉を選びましょう。また、質問の意図が明確に伝わり、回答しやすい形式になっているかどうかも重要です。これにより、回答の質が高まり、より正確なデータを得ることができます。
信頼できる情報源からデータを収集する
特に、公開されているデータを活用するデスクリサーチにおいては、情報の信頼性が極めて重要です。官公庁が発表している統計データや、信頼性の高い調査機関が公開しているレポートなど、出典が明確な一次情報を利用するように心がけましょう。信頼性の低いデータに基づいて意思決定を行ってしまうと、大きな失敗に繋がる可能性があります。
市場調査に関してよくいただく質問
市場調査についてよくいただく質問は下記の通りです。
デスクリサーチによる市場調査なら自力で可能では?
オープンソースの情報は自社でも入手可能なものが多く存在しますが、その中から信頼性が高く、有用な情報を見極めて抽出することは容易ではありません。
さらに、有料のデータベースを活用したり、複数の情報源から必要なデータを整理・統合するには、高度なリサーチスキルと豊富な経験が求められます。
そのため、調査の精度と効率を重視する場合は、専門性を備えた調査会社に依頼することが有効な選択肢となります。
市場調査で調査不可能な項目は?
調査会社はあらゆる情報を集めることができると思われがちですが、倫理的にアクセスすることができない情報や表に出にくい情報が存在します。
例えば、企業間の取引に関わる情報や製造上の企業秘密といったことは当然ながら公表されることはありません。
特定商品の流通段階での価格を明らかにしたい、他社の真似できない製法を持つ商品の特性を明らかにしたいといったことが戦略上の課題としてあげられたとしても、市場調査では解決できない種類の問題ということになります。
調査は万能ではなく、調査を行っても結果が得られない場合があることも認識しておく必要があります。
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国内最大級のパネルネットワークと調査実績で課題解決をサポート
国内最大規模のパネルネットワークを活用し、多彩な業界の課題に応じた調査設計・実施が可能です。これにより、的確なターゲットへのアクセスと高品質なデータ収集を実現しています。
豊富な調査手法
インターネットリサーチによるアンケート調査以外にも、調査の内容や目的に応じて、デスクリサーチやエキスパートインタビューなど幅広い手法のご提案が可能です。
市場調査をお考えなら電通マクロミルインサイトにご相談ください
市場調査は、企業が変化する市場環境に対応し、マーケティング活動を成功に導くための不可欠な手段です。正しい知識と適切な手法選びにより、調査結果を実際のビジネスに活かすことができます。
調査会社を上手に活用することで、自社だけでは得られない専門的な知見や高品質なデータを活用した、より実践的なマーケティング戦略が可能になります。
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