目次
レイトマジョリティとは
レイトマジョリティとは、新しい製品やサービスの普及において、イノベーションの受け入れが比較的遅い消費者層のことを指します。イノベーター理論では、消費者は主に5つの層に分類され、レイトマジョリティは最後から2番目に位置します。
この層はアーリーマジョリティに続く、市場における消費者市場の大部分を占める層の一つで、全体の約34%を占めています。
普及の後半に動くこの層は、非常に慎重で、リスクを嫌う傾向が強いため、他の消費者がすでに使用していることを確認してから、ようやく購入を検討します。
市場において技術やサービスが十分に成熟し、信頼性やコストパフォーマンスが証明され、多くの人々に受け入れられた後に行動に移るのが特徴です。
レイトマジョリティはボリュームが大きいことから、購買行動を理解し、適したマーケティング戦略を組み立てることが、成熟市場におけるシェア拡大や売上増加につながります。
レイトマジョリティの特徴
レイトマジョリティは次のような特徴があります。
1. リスク回避志向が強い
アーリーマジョリティもリスクを回避する傾向がありますが、レイトマジョリティは、より新しい技術や製品に対してリスクを感じやすく、最初に自らが採用することを避けます。他者が先に使用して成功しているのを確認しない限り、自分自身で試そうとはしません。
リスクを最小限に抑えることが非常に重要であり、製品やサービスが確立され、信頼できるものとして認識されるまで待つ傾向があります。
2. 価格を重視する
レイトマジョリティは新しい製品を購入する際に、価格やコストパフォーマンスを非常に重視します。普及の初期段階では高価格だった製品が、値下げやキャンペーンで手頃になったタイミングを見計らって購入することが多いです。
価格施策やプロモーションがレイトマジョリティには効果的です。
3 技術やサービスに対する懐疑心
新しい技術やサービスに対して懐疑的な姿勢を持っていることも特徴の1つです。
レイトマジョリティは、製品がすでに市場で確立されていることを重視し、その信頼性が証明されるまでは慎重に行動します。新しい技術やトレンドには消極的であり、流行しているだけでは行動に移りません。
そのため、すでに多くの人々が使用しており、評価が高いことが、購買決定に大きく影響します。口コミ、レビュー、成功事例などが購買を後押しするため、企業側はこれらを上手く活用していくことが市場の拡大には効果的です。
レイトマジョリティを攻略するためのマーケティング戦略
1. 価格戦略の最適化
レイトマジョリティは、コストパフォーマンスを非常に重視します。
彼らにアプローチするためには、価格施策で値ごろ感の訴求など、特に割引キャンペーンやプロモーションを活用することが効果的です。
・価格引き下げやセールの実施
・分割払いプランや柔軟な支払いオプションの提供
このように、コスト意識の強いレイトマジョリティに対して、手軽に購入できるオプションを提供することで、購入意欲を高めます。
価値の可視化とブランドの強調
レイトマジョリティは、他者の成功や周囲の評判を強く重視するため、使用実績や普及率、ブランド力を前面に出すことが重要です。
既に製品やサービスが広く使用されていることを明示することで、彼らの信頼を勝ち取ります。
・口コミやレビューを強調
・ケーススタディの公開
・認知度や普及率のデータを提示
リスクを軽減するための保証やサポート
リスクを避けたいレイトマジョリティに対しては、購入に伴う不安を取り除くため、次のようなリスク軽減策が有効です。
・長期保証の提供
・カスタマーサポートの運用
レイトマジョリティとラガードの違い
レイトマジョリティとラガードは、どちらもイノベーション普及モデルにおける後半の消費者層ですが、それぞれ異なる特徴や行動パターンを持っています。以下に、その主な違いを解説します。
1. 技術や製品の採用タイミング
• レイトマジョリティ:
市場全体が製品や技術を受け入れた後に導入を検討します。彼らはすでに製品やサービスが広く普及していることを確認した上で行動を起こすため、普及の後期段階で採用します。
製品が主流になり、価格が下がるタイミングで購入することが多いです。
• ラガード:
普及モデルの最後に位置する消費者層であり、最も遅く新しい技術や製品を採用します。彼らは技術革新に対して抵抗を感じており、基本的には新しいものを避け、従来の技術や製品を長く使い続ける傾向があります。
ラガードが採用に踏み切るのは、市場における普及が完全に完了し、他に選択肢がほとんどない場合が多いです。
2. リスク回避の程度
• レイトマジョリティ:
リスク回避志向は強いものの、社会的証明(他の人々の評価や使用状況)を確認し、自分自身がリスクを負わないと判断すれば採用に踏み切ります。新しい技術に対して慎重ですが、リスクが少なくなった段階で購入を検討します。
• ラガード:
極端にリスク回避的であり、技術革新自体に対して懐疑的です。新しい製品やサービスに価値を見出すことが少なく、技術が非常に成熟し、変わらざるを得ない状況で初めて導入することが多いです。
基本的に、リスクを避けるために可能な限り既存の技術を使い続けます。
3. 消費者心理と動機
• レイトマジョリティ:
他の消費者が成功しているのを確認してから行動する、いわゆる「フォロワー」志向が強いです。大勢の人々がすでに製品やサービスを使用していることで安心感を得て、購買を決定します。また、価格が下がることや、信頼できるサポートがあることも動機になります。
• ラガード:
基本的に変化を嫌う傾向が強く、従来の技術や製品を好みます。彼らの購買行動の動機は、他の選択肢がほとんどなくなったときや、従来の技術が廃れてしまった場合です。新しい技術や製品への抵抗感が強いため、イノベーションに対する興味や積極性はほとんどありません。
レイトマジョリティを取り込むことは、市場シェアの最大化、収益の安定化、ブランドの信頼性向上、競争優位の確立、製品ライフサイクルの延長など、ビジネスの成長を支える多くの要素に貢献します。慎重な消費者層であるレイトマジョリティをターゲットにし、彼らのニーズに応えることで、企業は成熟市場においても持続的な成長の実現につながります。